冒険彗星

冒険彗星（ぼうけんすいせい）

「冒険彗星」は、日本のシンガーソングライター、榎本くるみが2008年に発表した9枚目のシングル曲です。インディーズ時代や「くるみ」名義でリリースされた作品も含めると、通算13枚目のシングルにあたります。2008年には3作目のシングルとしてリリースされ、前作「イエスタデイズ〜大切な贈りもの〜」から約1ヶ月あまりという短い期間での発表となりました。

この楽曲の最大の特徴は、榎本くるみ自身の作詞・作曲ではない、外部のアーティストによる楽曲提供である点です。具体的には、人気ロックバンドBUMP OF CHICKEN|BUMP_OF_CHICKENのメンバーである藤原基央が「MOTOO FUJIWARA」名義で参加し、同じく「MOR」とともに作詞、作曲、そしてプロデュースを手掛けています。これは彼女のシングル作品において初めての試みであり、アーティストとしての新たな一面を開拓する作品となりました。

また、「冒険彗星」は、自身にとって初めてのアニメ作品とのタイアップソングでもあります。MBS・TBS系列で放送されたテレビアニメ『テイルズ オブ ジ アビス』のエンディングテーマとして起用されました。人気ゲームシリーズを原作とするアニメのエンディングを飾ったことで、より多くのリスナーにその歌声が届けられる機会を得ました。

シングルのリリース形態は、初回生産限定版と通常版の2種類が用意されました。初回生産限定版には、楽曲のミュージック・クリップや特別映像などを収録したDVDが付属し、ファンにとっては視覚的にも楽曲の世界観を楽しめる内容となっていました。さらに、初回生産限定版および通常版の初回生産分には、タイアップ先であるアニメ『テイルズ オブ ジ アビス』のオリジナルステッカーが特典として封入され、作品ファンへのアピールも図られました。

商業的な面でも、「冒険彗星」は榎本くるみのキャリアにおいて重要な成果を上げました。オリコン週間シングルチャートでは最高位10位を記録し、自身初のトップ10入りを果たしたのです。これは、これまでの彼女のシングル作品の中で最も高い順位であり、アーティストとしての認知度と評価を高める結果となりました。このチャートアクションを受け、彼女はこのシングルを引っ提げて、テレビ朝日系の人気音楽番組『ミュージックステーション』への初出演も果たしています。全国的な音楽番組への出演は、さらなるブレイクスルーへの足がかりとなりました。

CDシングルには、タイトル曲「冒険彗星」に加え、「朝顔」と「ぼくのうた」というカップリング曲が収録されています。これら3曲はいずれも、MOTOO FUJIWARAとMORの共作による作詞・作曲です。DVDには、「冒険彗星」のミュージック・クリップ本編のほか、アコースティックアレンジでのスペシャルライブ映像、そして『テイルズ オブ ジ アビス』の映像を使用したSpecial Music Clipが収められており、様々な形で楽曲を味わうことができます。

これらの楽曲は、後にリリースされたアルバム『NOTEBOOK II〜冒険ノート中〜』にも収録されています。このアルバムは、文字通り彼女の「冒険」の記録とも言える内容であり、「冒険彗星」がアルバム全体のコンセプトを象徴する楽曲の一つであったことがうかがえます。「冒険彗星」は、榎本くるみにとって、初の外部作家との協業、初のアニメタイアップ、初のトップ10入り、初のMステ出演と、多くの「初めて」を経験した記念碑的なシングルであり、その後の活動の大きなステップとなった作品と言えるでしょう。

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