冠位十九階

冠位十九階制度について

冠位十九階（かんいじゅうきゅうかい）は、649年から664年まで存在した日本の冠位制度です。この制度は『日本書紀』の大化5年の2月に記載され、「冠十九階を制す」として1から19までの冠位名称が整備されました。具体的には、大織（おおおり）や小織（こおり）、大繡（おおしゅう）といった様々な冠位が定められました。これにより、当時の社会における地位や役割が明確にされました。

制定の背景と改正の要点

冠位十九階は、先に施行された冠位十二階制を受け、わずか2年後に設けられました。この改正は、官職の数が増加する中で、従来の十三階制では不十分とされたために行われたと考えられています。また、冠位の名称は従来のものと異なる部分があり、新たに階数を増やし、名称においても簡略化が図られました。これにより、文書作成の手間が軽減されたと推測されます。

冠位の改正では、従来の色分けに基づいた名称が、より具体的に細分化されました。たとえば、錦は花、青は山、黒は乙という風に、その冠位が上下に分けられ、役職や地位に応じた昇進が可能となりました。

冠位の普及の状況

十二階制では地方の豪族が冠位を受けることは少なかったのですが、冠位十九階制度が施行されるにつれて、徐々に冠位を持つ者が増えていきました。しかし、全ての豪族が冠位を受け取るには至らず、地方の古系図には孝徳天皇の時代から冠位が記される傾向が見られました。それでも、『阿蘇氏系図』や『利波臣系図』のような他の系図に冠位の記載がないことから、まだまだ平等には行き渡っていなかったことがうかがえます。

この時期、冠位はより官僚的な性質を持ち始め、昇進や官位の整備に繋がったと考えられています。実際に、飛鳥京跡から出土した文書には、当時の冠位が記されており、「大花下」や「小山上」といった名称が確認されています。

他の制度との対照

冠位十九階は、前後の冠位制度と明確な対応関係が存在しています。こちらの制度は、特に官職の数が増えてきた背景から整数の階級として機能していたため、社会における組織化や秩序の形成に重要な役割を果たしました。特に、官位に応じた役職の昇進は、後の律令制度の基盤を築くことに貢献したと評価されています。

以上が冠位十九階制度の概要です。この制度は、日本の官位制度の変遷の中で極めて重要な位置を占めており、後の時代にも影響を及ぼすこととなります。

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