飛鳥京

飛鳥京とは

飛鳥京（あすかきょう）とは、現在の奈良県明日香村を中心とした地域に、飛鳥時代に存在したとされる天皇（大王）の宮とその関連施設の遺跡群の総称、およびその区域の通称です。この地域には、複数の天皇が宮を置き、政治や文化の中心地として機能していました。しかし、藤原京のような条坊制に基づく都市計画は確認されておらず、その実態は多くの謎に包まれています。

飛鳥京の歴史的背景

飛鳥京は、飛鳥時代を中心に栄え、この地域には多くの天皇の宮が置かれました。そのため、当時の倭国の首都としての機能も果たしていたと考えられています。しかし、発掘調査では、宮殿の周囲に臣民の住居や施設が見つかっておらず、その全体像は明確になっていません。また、「飛鳥京」と呼ばれる範囲も、実際に都市と呼べるほどの規模を持っていたかは不明です。

歴史学や考古学の研究では、「飛鳥京」は厳密な学術用語ではありませんが、現在では観光や歴史愛好家の間で広く使われ、飛鳥周辺地域を指す一般的な名称として定着しています。

斉明天皇の時代には、大規模な公共工事が行われ、冠位十九階や礼法の整備も進められました。また、日本書紀には「京」という概念が登場しており、宮殿周辺に限らず、飛鳥盆地全域とその周辺を初期の都市計画とみなす見解もあります。

2007年には、橿原市周辺の藤原京関連遺跡群と共に、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」としてユネスコの世界遺産（文化遺産）の暫定リストに掲載されました。

飛鳥京跡との関連

「飛鳥京跡」という場合、飛鳥京の中心的な遺構である天皇の宮跡を指すことが多く、宮都全体を意味するわけではありません。明日香村には、飛鳥京を構成していた複数の宮や、それに関連する遺跡が多数存在します。

これらの遺跡には、以下のようなものがあります。

島庄遺跡、石神遺跡、水落遺跡：遺跡の存在地の字を冠するもの
雷丘東方遺跡、甘樫丘東麓遺跡：遺跡の存在地を他の地理的名称から示したもの
川原寺跡、飛鳥寺跡：建造物に由来するもの
飛鳥池遺跡、飛鳥京跡苑池遺構：遺跡の機能や形状を示したもの

これらの遺跡の命名には、特に規則性はありません。「飛鳥京跡」は、飛鳥地域に散在する時期の異なる宮や邸宅、寺院などの建造物、市や広場、道路など、都市関連遺跡の総称・汎称として用いられています。

今後の調査によって、これらの遺跡の年代や性格、都市における位置づけが明確になり、飛鳥京全体の総合的な理解が進むことが期待されています。

飛鳥の諸宮一覧

飛鳥には、以下のような宮が置かれました。

遠飛鳥宮（允恭朝）
近飛鳥八釣宮（顕宗朝）
檜隈廬入野宮（宣化朝）
豊浦宮（推古朝）
小墾田宮（推古朝、皇極朝）
岡本宮（舒明朝）
田中宮（舒明朝）
厩坂宮（舒明朝）
板蓋宮（皇極朝、斉明朝）
川原宮（斉明朝）
岡本宮（後飛鳥岡本宮、斉明朝）
飛鳥浄御原宮（天武朝、持統朝）

関連項目

倭京
飛鳥京跡
* 日本の[[首都]]

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