冨永ボンド アートレディオ

『冨永ボンド アートレディオ』は、日本の九州地方を拠点とするRKB毎日放送（RKBラジオ）で、約二年間という期間にわたり放送されたユニークなトーク番組でした。番組は2018年4月2日にその歴史を開始し、2020年3月23日の放送をもって終了しました。

この番組の中心にいたのは、木工用ボンドという日常的な素材を駆使して、色彩豊かで独創的な絵画や立体作品を生み出すことで知られる芸術家、冨永ボンド氏です。彼が番組のパーソナリティを務め、自身の芸術活動の根底にある「接着」という概念を、ラジオ番組の進行に応用しました。

番組の主要なコンセプトは、「トークによる接着」でした。これは、パーソナリティである冨永氏が、毎回スタジオに招く多彩な分野からのゲスト、そしてラジオの電波を通じて番組を聴取するリスナーたちの心を、言葉の力で結びつけ、互いの存在をより身近に感じられるようにすることを目指したものです。芸術家ならではの柔軟な発想と、人との繋がりを大切にする冨永氏の温かい語り口を通じて、ゲストとの対談は時に深く、時にユーモラスに展開されました。芸術、文化、社会、そして日々の些細な出来事まで、多岐にわたるテーマが取り上げられ、ゲストの持つ専門知識や独自の視点が引き出されました。

同時に、番組はリスナーとの間の「接着」も重視しました。寄せられる質問やメッセージに対し、冨永氏が真摯に応えたり、リスナーの体験談を紹介したりすることで、単方向的な放送に留まらず、パーソナリティ、ゲスト、そしてリスナーが一体となったような、アットホームで創造的な空間が築かれました。これにより、聴取者は番組に参加している感覚を得られ、ラジオを通じたコミュニティのような繋がりが生まれました。

番組の放送時間は、その期間中に一度変更が行われています。放送開始から一年間、具体的には2018年4月2日から2019年3月25日までの間は、毎週月曜日の夜、20時15分から20時30分までの15分枠で放送されていました。しかし、2019年4月2日からは、最終回を迎える2020年3月23日まで、同じ月曜日の15分枠ながらも、時間が繰り下げられ、21時30分から21時45分に変更されました。夜の比較的遅い時間帯に放送されたことで、一日の終わりに落ち着いて耳を傾けられる番組として、多くのリスナーに親しまれました。

本番組は、吉源工務店および三洋ペイントという二社の提供によって支えられました。これらのスポンサーの存在が、番組制作および放送の継続を可能にしたと言えるでしょう。

また、RKBラジオの公式ウェブサイト上には、『冨永ボンド アートレディオ』に関する詳細情報や番組紹介を掲載した公式ページが存在しました。これは、番組を聴き逃したリスナーや、番組に興味を持った人々が情報を得るための重要な窓口となっていました。

芸術家のユニークな視点と「接着」というコンセプトが生み出したこのラジオ番組は、限られた放送時間の中で、パーソナリティ、ゲスト、そしてリスナーを結びつけ、心温まる対話と新たな発見を提供する役割を果たしました。約二年の放送期間を終えましたが、その試みはラジオ番組の可能性を示す一例として記憶されています。

もう一度検索