冨田弘一郎

冨田弘一郎（とみた こういちろう、1925年2月16日 - 2006年5[[月22日]]）は、日本の天文学者であり、公共天文台における職業天体観測の草分け的存在として知られています。東京府（現在の東京都）出身の彼は、その生涯を通じて天文学の発展に大きく貢献しました。

生涯と業績

冨田弘一郎は、青山学院専門学校（現在の[青山学院大学]]）を卒業後、東京天文台に入台し、天文学者としてのキャリアをスタートさせました。東京天文台では、広瀬秀雄に師事し、天文学の研究に励みました。広瀬、香西洋樹と共に小惑星の探索を行い、多数の小惑星を発見しました。2009年までに9個の小惑星が番号登録され、そのうち7個が命名されています。[[小惑星]冨田は、彼の功績を称え、彼自身の名が付けられました。

1955年には、師である広瀬秀雄とともに、しぶんぎ座流星群の歴史的な多点写真観測を実施し、流星の軌道を精密に決定しました。この観測成果は、『四分儀座流星群の写真観測』として東京天文台報に発表され、天文学界に大きな影響を与えました。

1964年には、冨田・ゲルバー・本田彗星を発見し、彗星研究においても大きな業績を残しました。1971年には東京天文台天体掃索部に所属し、多くの周期彗星を検出しました。1973年には、月までの距離をレーザー光で測定する観測に参加し、最新技術を用いた宇宙研究にも貢献しました。

また、1976年にはウェスト彗星の核分裂を詳細に観測し、彗星の物理的性質の解明に貢献しました。1978年から1982年の間には、フランスのCERGA（地球力学・天文学研究センター）に滞在し、多数の小惑星を発見しました。これらの発見は、小惑星研究の進展に大きく貢献しました。

1985年には、東京天文台講師を定年退官しましたが、その後も研究活動を続け、1998年には『日本の小惑星命名宝鑑』を完成させました。この著作は、日本の小惑星命名に関する貴重な資料となっています。

2004年に体調を崩し入院、静養生活を送ることとなり、2006年5[[月22日]]、81歳で自宅にて永眠されました。

天文学普及への貢献

冨田弘一郎は、研究者としての活動だけでなく、天文学の普及活動にも力を注ぎました。多くの著書を通じて、一般の人々にも天文学の面白さを伝えました。

主な著書

『天体観測入門・流星写真のとり方』（1955年）
『太陽系・水星』（1963年）
『天文台と観測器械・望遠鏡の取扱い方』（1964年）
『天体写真の撮影』（1969年）
『彗星の話』（1972年）- ロシア語にも翻訳
『星座12カ月』（1980年）
『天体望遠鏡をもとう』（1984年）
『天体写真』（1985年）
『天体画像』（1985年）
『ぼくらの天文・気象・地球15 星とわたしたち』（1987年）
『日本アマチュア天文史・人工衛星』（1987年）
『宇宙と星の基礎知識・はじめて使う場合 どんな望遠鏡がよいですか』（1989年）
* 『続 日本アマチュア天文史・望遠鏡と観測機械』（1994年）

これらの著作は、天文学の入門書として多くの人々に親しまれ、天文学への興味関心を高める上で重要な役割を果たしました。特に、『彗星の話』はロシア語にも翻訳され、国際的にも評価されています。

冨田弘一郎の業績は、天文学研究の発展に大きく貢献しただけでなく、多くの人々に天文学の魅力を伝えることで、科学への関心を深めるきっかけとなりました。彼の残した功績は、後世に語り継がれることでしょう。

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