冬の時代

「冬の時代」とは、特定の産業や文化活動が衰退し、停滞している状態を指す慣用句です。多くの場合、かつて隆盛を誇ったブームが過ぎ去った後に、その反動として訪れる時期を指します。この時期の特徴として、その始まりは比較的明確であるものの、回復の兆しが見えにくく、状況が改善するまでに時間を要することが挙げられます。「冬の時代は終わったのか」という議論がしばしば交わされることからも、その不確実性が伺えます。

日本における「冬の時代」の事例

社会主義運動の冬の時代：
1910年の大逆事件を機に、社会主義運動は厳しい弾圧を受け、約5年間の低迷期を迎えました。この時期、堺利彦は文筆活動に力を注ぎ、荒畑寒村と大杉栄は雑誌『近代思想』を創刊するなど、社会運動から文化運動へと活動の軸足を移しました。
日本のボクシング史における冬の時代：
1980年代は、日本のボクシング界にとって低迷期であったとされています。
SFの冬の時代：
1980年代末から1990年代にかけて、SFジャンルは人気が低迷し、冬の時代を迎えたと言われています。
アイドルの冬の時代：
おニャン子クラブ解散後の1980年代末から1990年代前半にかけて、アイドル業界は低迷期に入りました。この時期は、新たなアイドル像が模索される時期でもありました。
テーブルトークRPGの冬の時代：
1990年代後半、テーブルトークRPGはかつての勢いを失い、冬の時代を迎えたとされています。

その他の用例

『ナルニア国物語』における冬の時代：
C.S.ルイスのファンタジー小説『ナルニア国物語』では、文字通り、気温が低い、冬の続く時代を指す言葉として使われています。物語の中では、永遠の冬が続く世界が描かれています。

補足

「冬の時代」という言葉は、必ずしも否定的な意味合いだけで使われるわけではありません。低迷期を経て、新たな潮流や創造性が生まれることもあります。この時期は、過去の反省と未来への展望を練るための重要な期間とも言えるでしょう。

関連項目

* 就職氷河期：
バブル崩壊後の1990年代後半から2000年代初頭にかけて、新卒採用が大幅に抑制され、就職が困難であった時期を指します。「冬の時代」と並んで、社会現象を表す言葉として用いられることがあります。

もう一度検索