堺利彦

生涯

堺利彦（1871年1月15日 - 1933年1月23日）は、日本の社会主義者、思想家、歴史家、共産主義者であり、また著述家や小説家としても知られています。彼の号は枯川で、別名には貝塚渋六という名前もあります。堺は旧士族の三男として豊前国に生まれ、幼少期から学びに励みました。旧制豊津中学校は首席で卒業し、その後上京して共立学校で受験英語を学んだのちに第一高等中学校へ進みますが、学費の事情で除籍処分を受けます。

新聞記者としてのキャリアをスタートさせた堺は、大阪や福岡で幅広く活躍しながら小説の執筆を続けました。同郷の末松謙澄の紹介を受けて東京に渡り、毛利家の編集所で「防長回天史」の編纂に関わり、親しい仲間とともに文学的な活動を行いました。その後、彼は日本初のゴシップ紙とされる「萬朝報」に記者として参加し、社会改良主義に関する論説を担当しました。

社会主義活動

彼は内村鑑三や幸徳秋水と共に理想団を結成し、社会主義思想に影響を受ける中、特に非戦論を通じて社会改正の必要性を訴えました。しかし、日露戦争時に新聞の路線が転換されると、内村や幸徳と共に「萬朝報」を離れ、「平民社」を設立し、週刊「平民新聞」を発刊しました。この新聞では非戦論と社会主義の立場からの意見を発表し、さらには翻訳した「共産党宣言」を掲載することで、日本における共産主義思想の浸透に寄与しました。

1905年には社会主義機関誌「直言」にエスペラントについての寄稿を行い、その後日本エスペラント協会の評議員に選出されます。同年には日本社会党の設立にも関与し、幹事として重要な役割を果たしました。1908年には赤旗事件に見舞われ、2年間の重禁固刑を受けましたが、その間に発生した「大逆事件」で幸徳が処刑されたため、獄中にいた堺は命を救われました。出獄後は「冬の時代」と呼ばれる抑圧の期間を経て、売文社を設立しながら雑誌「へちまの花」や後の「新社会」を編集・発行しました。

政界への進出と晩年

堺は1918年に黎明会の設立に携わり、政界活動にも参加します。1920年には日本社会主義同盟を立ち上げますが、翌年には活動が禁止になりました。続いて、堺は第一次共産党の結成へ参加するも、その後の動向によって労農派にシフトし、東京無産党の結成に関わります。1929年には東京市会議員にも当選し、政界でもその名を広げます。

晩年には、福岡県で寺子屋式農民学校の開校に取り組むものの、脳出血により健康を損ねます。入院後は療養に努めたが、1933年には東京で容体が悪化し、62歳で亡くなりました。彼の戒名は「枯川庵利彦帰道居士」です。

まとめ

堺利彦の活動は、日本の社会主義運動の発展に大きな影響を与えました。彼の著作や社会運動への深い関与は、後の世代にとっても重要な歴史的遺産となっています。

もう一度検索