冲中重雄

冲中重雄の生涯と業績

冲中重雄（おきなか しげお、1902年10月8日 - 1992年4月20日）は、日本の内科学の発展に寄与した著名な学者である。彼は東京大学名誉教授であり、日本学士院の会員としても知られ、文化勲章や勲一等瑞宝章を受章している。石川県金沢市に生まれた彼の背景や業績について、以下に詳述する。

生い立ちと学歴

冲中は金沢市において、大日本帝国陸軍の軍人である太田米丸の子として生まれる。家族には軍人や国学者という背景を持つ者が多く、彼自身もその影響を受ける。幼少期には岡山県立師範学校附属小学校や東京の王子尋常高等小学校に通った。

1921年、父の死去に伴い、養子縁組を通じて医師の家系に入った。彼は第二横浜中学から東京帝国大学医学部に進学し、そこで内科学を学ぼうとする。卒業後は内科学第二講座に所属し、呉建教授のもとで副手としての経験を重ねた。

内科学への貢献

1946年、44歳の時に東京帝国大学医学部の内科学第三講座の教授に就任した。彼の就任は大変異例のことであり、それまでの内科学の枠組みを超えた研究を推進することとなった。特に自律神経系に関する研究が評価され、神経内科の確立に寄与した。

日本神経学会の設立にも尽力し、1961年には日本学士院恩賜賞を受賞した。さらに翌年には日本で初となる老年病学講座が設置され、彼自身がその教授に就任した。

告白の場面と誤診率

彼の著名な話として、1963年の東京大学退官時に自身の教授在任中の誤診率が14.2%であったことを発表したエピソードがある。この発言は患者を驚愕させ、他の医師からはその誤診率の低さが称賛されることとなった。彼は退職後も、虎の門病院という新たな医療機関の設立に携わり、10年間院長を務めた。

後の活動と受賞歴

退官後も冲中は多方面で活躍を続け、成人病研究所の理事長を務めるなど、日本の医学界で大きな影響を与えた。宮内庁での医事参与や文化勲章の受章（1970年）など、数々の名誉も手に入れている。さらに1975年には勲一等瑞宝章に叙された。なお、彼は谷崎潤一郎の主治医でもあり、患者との関わりを大切にした。

著書と学術活動

冲中は多くの著書も残しており、代表的な著作には『自律神経系』、『内科診断学』、『医師と患者』などがある。また、博士論文としても「脳脊髓性 -錐体路外導路性-筋緊張の末梢径路に関する研究」を発表し、学問への情熱は尽きなかった。

結論

冲中重雄の業績は内科学の分野において革新的であり、彼の研究は今なお多くの医師たちに引き継がれている。彼の精神と業績は、後進の学者や医師たちにとっても大いなる指針でありつづけることだろう。

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