呉建

呉建：医学と芸術の両分野で卓越した業績を残した巨人

呉建（1883-1940）は、日本の医学史に燦然と輝く名医にして、優れた洋画家でもありました。東京帝国大学医学科を卒業後、ドイツやオーストリアに留学し、最先端の医学研究に触れ、その知識と経験を日本に持ち帰りました。

輝かしい経歴と多方面での才能

呉建は、医学博士号を取得し、東京帝国大学、九州帝国大学で教授を務めただけでなく、東京帝国大学医学部附属医院医長も歴任しました。彼の卓越した能力は、医学界のみならず、芸術界にも及んでいました。洋画家としても活躍し、帝展や文展で複数回入賞するなど、多方面で才能を発揮した人物でした。

彼の家系は、蘭学者である箕作阮甫を曾祖父に持つなど、学術的な家系に育ちました。父は統計学者の呉文聰、叔父は精神科医の呉秀三という、恵まれた環境の中で育ち、幼少期から知的な刺激を受けながら成長しました。

医学における偉大な功績

呉建の医学研究は、循環器病学と神経生理学に大きく貢献しました。心電図などの新しい技術を積極的に導入し、心臓の病態生理学、脊髄副交感神経の研究に精力的に取り組み、その成果は国際的な賞賛を受けました。特に、1931年に発表した脊髄後根における遠心性線維の発見は、彼の最も重要な業績の一つであり、この発見により、1939年には帝国学士院恩賜賞を受賞しました。

彼は、肺血管への作用など、独自の理論を展開し、その研究成果はドイツやスイスの国際学会に招聘されるほど高く評価されました。また、進行性筋ジストロフィーの研究でも、画期的な知見を発表しています。

研究活動の傍ら、東京帝国大学医学部附属医院医長として、多くの患者を診察し、心臓病や神経痛の権威としても広く知られていました。患者への献身的な姿勢は、彼の高い人徳を物語っています。

ノーベル賞候補に6度もノミネート

呉建の卓越した研究成果は、ノーベル賞選考委員会にも高く評価されました。1930年代には、なんと6度もノーベル[[生理学・医学賞]]候補にノミネートされています。これは日本人最多の記録であり、彼の業績の国際的な影響力の大きさを示しています。

1935年には、イワン・パブロフからの推薦を受け、受賞の可能性が非常に高まりました。しかし、受賞には至りませんでした。その理由は、当時日本が枢軸国であったことなどが影響したという見解もあります。

多彩な才能と業績

呉建は医学研究以外にも、洋画や随筆の執筆にも才能を発揮しました。医学界における偉大な業績のみならず、芸術分野にも貢献した彼の多彩な才能は、後世に大きな影響を与え続けました。

彼の急逝は、日本医学界にとって大きな損失となりましたが、彼の研究成果は今もなお、医学の発展に貢献し続けています。その功績は、様々な賞や栄誉によって称えられ、後世に語り継がれるべき偉大な業績と言えるでしょう。

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