冷戦 (ドクター・フーのエピソード)

ドクター・フー第7シリーズ第8話「冷戦」：閉鎖空間の緊張感と氷の戦士の復活

2013年4月13日、BBC Oneで放送された『ドクター・フー』第7シリーズ第8話「冷戦」。マーク・ゲイティス脚本、ダグラス・マッキノン監督による本作は、1983年冷戦下のソ連潜水艦を舞台に、11代目ドクター（マット・スミス）とコンパニオンのクララ・オズワルド（ジェナ・ルイーズ・コールマン）の冒険を描きます。

物語の中心は、氷の戦士の最高司令官スカルダクです。拘束を解かれたスカルダクは、人類への復讐を開始し、ドクターとクララは閉鎖された潜水艦内という極限状況下で彼に立ち向かうことになります。

氷の戦士の復活と製作秘話

「冷戦」は、1974年の「The Monster of Peladon」以来となる氷の戦士の再登場が大きな特徴です。脚本家のマーク・ゲイティスは、氷の戦士の熱烈なファンであり、彼らの再登場を強く望んでいました。当初、エグゼクティブ・プロデューサーのスティーヴン・モファットは、古風なイメージの氷の戦士が現代の視聴者に受け入れられるか懸念していましたが、ゲイティスが提案した斬新なアイデアと潜水艦という舞台設定に魅力を感じ、再登場が実現しました。

ゲイティスは冷戦時代の閉塞的な雰囲気と緊張感を物語に反映させ、潜水艦という舞台設定は、古典的な潜水艦映画へのオマージュであり、閉鎖された空間ならではの心理的な緊迫感を演出することに成功しています。また、過去のシリーズで登場したターディスの緊急移動システム「HADS（Hostile Action Displacement System）」も、本作で再び活躍します。

撮影と氷の戦士のデザイン

2012年6月、潜水艦セットで撮影が行われました。潜水艦内という設定のため、撮影中はキャストに水がかけられるなど、過酷な環境での撮影となりました。しかし、キャスト陣は撮影を楽しみ、特に水浸しになるシーンは撮影を容易にしたという声もありました。

氷の戦士のデザインは、オリジナルを踏襲しつつ、現代的な解釈を加えています。大幅な変更は行われず、オリジナルデザインの基本を維持することで、長年のファンにも受け入れられるものとなりました。しかし、最新の技術を用いて、より精悍で力強いデザインへと改良されています。

放送と反応

「冷戦」はイギリスで2013年4月14日に放送され、高い視聴率を獲得しました。タイムシフト視聴者を含めると、737万人が視聴し、BBC iPlayerでも高いアクセス数を記録しました。日本では放送されていませんでしたが、Huluで配信されました。

批評家の反応

批評家の反応は概ね肯定的でした。多くの批評家が、閉鎖的な空間での緊張感あふれる物語、氷の戦士の再登場、そしてマット・スミスとジェナ・ルイーズ・コールマンの演技を高く評価しました。一方で、ソ連側のキャラクター造形や、物語の展開に物足りなさを感じたという声もありました。氷の戦士の真の姿の描写についても、賛否両論がありました。

まとめ

「冷戦」は、古典的なSFドラマの要素と現代的な演出が見事に融合した、高い完成度を誇るエピソードです。閉鎖された空間での緊張感、魅力的な敵役、そしてドクターとクララの活躍は、視聴者に多くの興奮と感動を与えました。また、氷の戦士という人気キャラクターの再登場は、長年のファンにも大きな喜びをもたらしたと言えるでしょう。ただし、物語の展開やキャラクター造形に関して、若干の物足りなさを感じた視聴者もいたことも事実です。全体として、「冷戦」は、『ドクター・フー』シリーズの中でも記憶に残る名作のひとつとして評価されています。

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