凶銃・戻り道はない

『凶銃・戻り道はない』

『凶銃・戻り道はない』は、1997年に公開されたバイオレンス・アクションのVシネマで、村橋明郎が監督を、佐伯大輔が主演を飾っています。本作は大藪春彦の小説『戻り道はない（続・凶銃ルーガーP08）』を原作としており、短編小説の中ではルガーP08という拳銃が引き起こす様々な人間模様が描かれています。しかし、映画は1994年に制作された『凶銃ルーガーP08』の正式な続編ではなく、独自のストーリーが展開されます。

あらすじ

物語の中心となるのは、22歳の若者・中根裕司。彼はバーテンダーとして底辺の生活を送る中で、満たされない欲望を抱いています。やがて裕司は、拳銃ルガーP08を手に入れると、その力を使って自分の欲望を満たそうと行動を起こし、やがてヤクザとの関わりを深めていきます。

裕司はキャバレーのバーテンダーとして働いていますが、日々の生活に不満を感じ、成り上がりたいという強い野心を抱いています。そんなある日、裕司は夜道で殺人事件を目撃し、その犯人が経営している「経済研究所」の人間になりたいと願いを告げます。この願いが思わぬ運命を引き寄せることになります。

裕司の前に現れたのは、復讐の鬼と化した幸子。幸子は裕司にルガーP08を譲る条件として、裕司が自分を射殺してくれることを提案します。この取引によって裕司は拳銃を手に入れることになり、彼の野心はさらに膨れ上がります。

裕司は今までとは異なる強気な行動に出ます。雀荘で尾崎組の組長に直接取り入ろうとする裕司は、やがて組長からの依頼を受けて凶悪な任務を遂行します。裕司は冷静さを保ちつつも、短気な性格から依頼を強引な方法で解決し、成功を収めるのです。

しかし、裕司の成功は表面的なものであり、彼を取り巻く人間関係は次第に複雑化していきます。特に羽田と呼ばれる舎弟は、裕司に憧れを抱くものの、年齢差からくる自身の立場の苦悩を描写しており、彼の葛藤が物語に深みを与えています。

裕司の次なる標的は五味雅之。裕司はこの任務を通し、暴力団内での地位をさらに高めようと試みますが、その過程で自らを見失い、冷酷さが際立っていくのです。裕司の行動が周囲にどう影響を与えるのか、彼の選択がどのような結果をもたらすのかは観客にとって大きな見どころです。

物語の最後では、裕司の行動が自らの運命を大きく変えるきっかけとなります。強気な性格が功を奏したと思われる瞬間に、彼は冷酷な現実に直面し、すべてを失う危機に至ります。

キャスト

• - 中根裕司：佐伯大輔
• - 舎弟・代田：大久保貴光
• - 尾崎組・組長：大杉漣
• - 殺し屋・藤村：山田辰夫
• - 経済研究所の男：鶴見辰吾（特別出演）
• - 幸子：横須賀蓉美
• - あけみ：前田つばさ
• - 五味雅之：清水宏

本作は、欲望と葛藤が交錯する中で、若者がどのように命運を左右されていくのかを描いた、緊迫感あふれるバイオレンス・アクションと言えるでしょう。

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