凸凹フランケンシュタインの巻

『凸凹フランケンシュタインの巻』：古典的ギャグとホラーの融合

1948年公開のアメリカ映画『凸凹フランケンシュタインの巻』（原題: Abbott and Costello Meet Frankenstein）は、アボットとコステロという人気コメディ・デュオが織りなす、痛快なホラー・コメディです。アボット&コステロシリーズの日本での14作目(アメリカでは21作目)にあたり、古典的なギャグと、ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男といったホラー映画の定番キャラクターを組み合わせた、ユニークな作品となっています。

製作の裏側：低予算と反対意見を乗り越えて

本作は、79万3千ドルという当時としては非常に低い予算で制作されました。制作費は1948年の映画の中でも下から2番目と、資金面では厳しい状況にあったようです。さらに、シリーズ継続に反対する声も多く、批評家からの酷評や、続編を視聴しないと公言する観客もいたと伝えられています。主演のルウ・コステロも当初は脚本に不満を持ち、出演をためらっていました。しかし、5万ドルの前払い出演料と、監督チャールズ・バートンの熱意によって出演が実現しました。

ベラ・ルゴシがドラキュラ伯爵、グレン・ストレンジがフランケンシュタインの怪物として出演している点も見どころです。ベラ・ルゴシは既に『魔人ドラキュラ』でドラキュラ役を演じており、グレン・ストレンジも数々のフランケンシュタイン映画に出演していたベテラン怪奇俳優でした。彼らベテラン俳優の演技が、コメディ要素とホラー要素のバランスを絶妙に保っています。

興行成績と海外での反響

低予算にも関わらず、本作は320万ドルという興行収入を記録し、ランキング3位を獲得する大ヒットとなりました。しかし、海外での公開は波瀾万丈でした。特に子供への悪影響を懸念したフィンランドでは上映禁止となり、オーストラリアではモンスターが登場するシーンがカットされた上で上映されました。これは、本作がコメディであると同時にホラー映画の要素も強く持っているため、各国で異なる反応があったことを示しています。

批評家の評価と作品の特徴

映画監督のアルフレッド・ヒッチコック、ジェイムズ・ホエール、クエンティン・タランティーノといった巨匠たちは、本作を高く評価しています。ロン・パルンボのエッセイによると、彼らは本作を「怖いときは本当に怖く、そして面白い場面は本当に面白い、という2つの要素を繰り返し配置し相互に強調させた最初の映画」と評したとされています。この評価は、本作がコメディとホラーという相反する要素を見事に融合させた、先駆的な作品であることを示しています。

あらすじ：予測不能な展開とスリリングな展開

荷役のチックとウィルバアは、ドラキュラとフランケンシュタインの怪物が閉じ込められたカゴを運ぶことになります。しかし、二体の怪物は逃走し、二人はヨーロッパから追いかけてきた狼男タルボットと共に、怪物たちを追い詰めることになります。物語は、予想外の展開と、コメディとスリルが入り交じる展開で進んでいきます。最終的には、ウィルバアがドラキュラの脳の代わりに自分の脳をフランケンシュタインに提供されそうになるという、ハラハラする場面も。しかし、最後はチックとタルボットの活躍で危機を脱し、命からがら逃げるという、痛快な結末を迎えます。

キャスト

バッド・アボット：チック・ヤング役
ルウ・コステロ：ウィルバア・グレイ役
ロン・チェイニー・ジュニア：ローレンス・タルボット/狼男役
ベラ・ルゴシ：ドラキュラ伯爵役
* グレン・ストレンジ：フランケンシュタインの怪物役

『凸凹フランケンシュタインの巻』は、低予算ながらも大ヒットを記録し、その後のホラー・コメディ作品にも大きな影響を与えた、記念碑的な作品と言えるでしょう。コメディとホラーの絶妙なバランス、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、忘れられない作品です。

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