出口せい

出口 せい（でぐち せい）

1843年生まれ、1911年没。明治時代に活躍した、日本のプロテスタント教会における黎明期の女性伝道者。

一橋家に仕えた本多家の娘として生を受け、彰義隊の幹部を務めた本多晋は実弟にあたる。結婚後、夫に先立たれるという経験を持つ。

明治5年（1872年）頃、アメリカ長老教会から来日していたカラゾルス夫妻との出会いを機に、キリスト教への道を歩み始める。彼らの滞在先である居留地六番館に身を寄せ、カラゾルス夫人によって設立されたA六番女学校での活動を献身的に支えた。

明治7年（1874年）10月18日、カラゾルス宣教師より洗礼を受け、キリスト者となる。その後、千村五郎、戸田欽堂、原胤昭、田村直臣といった面々と共に、東京における長老派教会の礎となる東京第一長老教会の創立に尽力した。

教会活動においては、特に女性信徒たちの指導者として、多くの人々を信仰へと導き、育成に貢献した。カラゾルス宣教師が日本での活動を終えて帰国した後、彼女は銀座に日本独立長老教会を立ち上げ、日本人自身による教会の運営・発展を目指した。

明治12年（1879年）には、M・T・トゥルー夫人の伝道活動に協力するため、北陸地方への宣教旅行に同行。約2年間にわたり、金沢を中心とした地域での伝道活動に貢献した。また、東京・四谷の鮫ヶ橋地区という、当時貧困層が多く住んでいたスラム地域において、孤児たちの養育という困難な社会福祉活動にも積極的に取り組んだ。

これらの多岐にわたる働きを通して、明治期の日本のキリスト教界、特に女性の役割拡大と社会事業の分野において、重要な足跡を残した。大正元年（1911年）にその生涯を終え、現在は青山霊園に安らかに眠っている。

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