出版条例

出版条例についての詳細

出版条例（しゅっぱんじょうれい）は、1869年に明治政府によって制定されたもので、日本における出版物の取り締まりを目的とした最初の法規です。この条例は、日本の言論統制の一形態として位置づけられており、主に出版物に対する監視や管理、そして著作権の保護に関する規定が含まれていました。

1869年の公布

1869年1月27日、明治政府は行政官達によって発表された初の法令において、図書を出版しようとする者は、地方の府県庁を通じて承認を受ける必要があることが定められました。そして同年5月には、昌平学校および開成学校が出版物の許可を管理することが報告され、それに伴って「出版条例」が添付されました。この条例には20条から成る規定があり、特に教義についての無用な議論や、偽情報の告発、官秘の漏洩、誹謗中傷、または淫乱に結びつく情報の発信を禁止する条項が重要視されました。また、出版者には官の保護が必要であると明記されており、これは即ち出版物の取り締まりと版権の保護に関する規定であったのです。

1872年における改正

1872年、さらに改訂された出版条例では、文部省に出版内容の大意を提出し、その承認を得ることが義務付けられました。この改正により、制限される事項は教義の誹謗や偽情報の告発に従いましたが、これによって言論の自由が制限されることとなりました。また、版権に関する規定はそのまま維持されました。

さらなる厳格化

1875年、讒謗律が発布されると、政府による言論統制がより強化され、著作物に対する監視も徹底されました。1883年には、同年4月の新聞紙条例の改正を受け、さらに厳しい規定が導入されました。特に、当該官庁からの許可がない文書の発表は禁止され、これに伴う罰則も非常に重くなりました。1884年には、過去に出版された文書に対しても官の許可が必要であるとする規定が設けられました。これにより、出版活動はますます厳しく制限されていったのです。

1887年の再改正

1887年、出版条例は一般的な法規の整理を意図した全改正が実施され、原稿の検閲は廃止され、完全に届出制へと移行しました。しかし、依然として「治安や風俗を害する」出版物に対しては、内務大臣が発売や頒布の禁止を命じる権限を持っており、一部の出版物が特別に注意を要するような状況が続いていました。また、版権に関する法律は別途制定され、出版条例の範囲外とされました。

出版法制定とその影響

1893年4月には出版法が施行されることで、出版条例の実効性は失われましたが、その正式な廃止は行われませんでした。この出版条例は1989年まで続けられ、その間に日本の出版界に深く影響を与えました。出版物に対する監視の強化と著作権保護の観点から、出版条例は日本の歴史において重要な役割を果たした法令と言えるでしょう。

参考文献

• - 『法令全書（慶應3年10月-明治45年7月） 明治8年』内閣官報局、1889年12月26日。

関連項目

• - 日本における検閲
• - 版権 - 著作権の旧称であり、出版条例はその初の規定を含む法令であった。

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