出獄聖徒

出獄聖徒とは



出獄聖徒(しゅつごくせいと)とは、韓国語では「출옥성도」と言い、日本統治時代の朝鮮において、神社への参拝を拒否し、結果として投獄された牧師たちを指しています。これらの牧師たちは、日本の敗戦によって釈放され、その後のキリスト教界において重要な役割を果たしました。

投獄の背景



日本による植民地統治が続く中、神社参拝は日本の文化的な要求の一環として強制されていました。しかし、多くのキリスト教徒、特に牧師たちは、この行為を偶像崇拝と見なし、堅く拒否しました。その結果、約70名の牧師たちが神社参拝拒否の理由で投獄されています。

殉教と出獄



この投獄の中で、実に50名の牧師が投獄生活を送る中で殉教し、信教の自由のために命を捧げました。残った20名の牧師たちは、日本の敗戦後に出獄を果たし、彼ら自身の信仰を再評価する機会を得ました。出獄後、これらの牧師たちは、神社参拝を行った他の教職者たちについて悔い改めるように決議を行いました。

高麗神学校の設立



1946年、韓尚東牧師を中心に高麗神学校が設立されました。この学校は、その後高麗神学大学と改名し、現在の高神大学校へと発展しています。この教育機関は、出獄聖徒たちの信仰と教えを新しい世代へと引き継ぐ役割を果たしました。また、高麗神学校は、大韓イエス教長老会高神派の形成にも寄与することになります。

出獄聖徒の影響



出獄聖徒が持つ意味は、単に信仰の自由を求めて投獄された歴史的な事例という以上に、キリスト教の信仰がどのように国家に対して力強く表明され得るかを示しています。彼らの信仰と勇気は、今なお多くの韓国のキリスト教徒に影響を与え続けており、教会の成長や信仰が地域社会でどのように結びついているのかを知る上での貴重な指針となっています。

参考文献



この歴史に関して詳しい情報を得たい場合は、次の文献が参考になります。
  • - 『日韓教会成長比較-文化とキリスト教史』尾形守いのちのことば社 ISBN 4938858037
  • - 『教会の戦争責任・戦後責任』信州夏季宣教講座編 いのちのことば社 ISBN 9784264026983
  • - 『神社参拝を拒否したキリスト者―平壌地方法院予審終結決定書』趙寿玉、渡辺信夫 新教出版社

出獄聖徒の存在は、信仰の自由を求める強い意志と、その基盤の上に社会的な影響を持つ教会の形成が如何にして可能であるかを考えさせる重要な歴史的事例となっています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。