出羽海部屋

出羽海部屋の概要

出羽海部屋（でわのうみべや）は、日本相撲協会に属する名門の相撲部屋で、最も多くの横綱を育成してきました。現存する相撲部屋の中で9人の横綱を輩出し、3人が相撲協会の理事長を務めるなど、数々の輝かしい実績を持っています。出羽海部屋は、13の相撲部屋から成る出羽海一門の中心でもあります。

歴史的背景

出羽海部屋の歴史は、初代出羽ノ海運右エ門が寛政の時代に設立したことから始まります。彼は最初に大関を育成し、相撲部屋としての基盤を築きました。1808年に一度部屋は閉鎖されますが、1862年に3代出羽ノ海が再度部屋を復興しました。このリーダーシップのもと、出羽海部屋はさらなる発展を遂げます。

4代出羽ノ海（元幕内・常陸山虎吉）からは多くの横綱が誕生し、5代出羽ノ海（元横綱・常陸山）の時代には、この部屋の栄光が最高潮に達します。5代は大錦、栃木山、常ノ花といった多くの関取を育成し、特に1917年から1921年にかけては部屋の力士が10場所連続して優勝するという偉業を達成しました。

1922年に5代が逝去し、その弟子の両國が6代を襲名。この際、部屋の名稱から「ノ」を取り払い、出羽海としました。6代の時代も部屋の繁栄は続き、1931年には幕内力士が番付の西方で20人を超える記録を残しました。

7代以降も横綱や大関を輩出し続け、戦時下では苦境に立たされながらも、春日野部屋を間借りして活動を維持しました。

現代の出羽海部屋

1968年に8代が引退し、佐田の山が9代を継承。9代は多くの弟子を育てましたが、1996年に役職に専念することを理由に引退し、その後は代替わりが行われます。11代が部屋を継承した後、2014年以降は部屋の復興に力を注ぎ続けています。

2018年には関脇御嶽海が幕内最高優勝を果たし、出羽海部屋は令和時代でもその力を示しています。また、現代においても独立を許さない伝統が存在し、このことが部屋の固い結束力を生み出しています。

文化と伝統

出羽海部屋の道場には明確な訓が存在しない一方で、築年数が最も古く、広い稽古場を有しています。力士たちは、早朝からの厳しい稽古を重ね、食事もちゃんこ場の横で行われます。

エピソード

出羽海部屋の最盛期には、200人近い所属力士が在籍していました。そのため、稽古時間の確保が難しく、一部の力士たちは午前2時過ぎに「一番相撲」を行ったとも言われています。また、有名なすき焼き店との交流もあり、部屋の力士たちが訪れることでも知られています。

最近のニュース

2022年には、新型コロナウイルスの影響で、部屋所属の力士が休場するという出来事がありました。大関・御嶽海も影響を受けたものの、彼は地位を保つ見込みとなっています。

出羽海部屋は長い歴史と多くの名力士を輩出してきた伝統ある部屋ですが、今後の活躍にも大いに期待が寄せられています。

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