函館八幡宮

函館八幡宮：北海道の歴史と信仰を見守る神社

函館八幡宮は、北海道函館市に鎮座する由緒ある神社です。かつては国幣中社に列せられ、現在は神社本庁の別表神社として、地域の人々から厚い信仰を集めています。函館山の南東麓、函館市街を一望できる高台に位置しており、その歴史は古く、北海道開拓の歴史と深く関わっています。

創建から近世、そして近代へ

社伝によれば、函館八幡宮の起源は文安2年（1445年）に遡ります。亀田郡の領主であった河野政通が函館・元町に築城した際、城の鎮守として八幡神を勧請したのが始まりと伝えられています。その後、河野氏が蝦夷との戦いで城を放棄し、一族は八幡神を奉じて移転を繰り返します。慶安2年（1649年）、河野氏一族の巫女の霊告により、元町の河野館跡地に八幡宮が遷座されました。

寛政11年（1799年）、東蝦夷が幕府直轄領となると、幕府は社地に箱館奉行所を置くことを決定。そのため、文化元年（1804年）、幕府の費用で会所町（現在の函館市元町北東部）に社殿が造営され、八幡宮は遷座しました。以降、箱館奉行所は八幡宮を祈願所として崇敬し、蝦夷地総社としてその存在感を高めていきました。蝦夷地開拓における神験があると広く信仰され、近世末期までに、石狩八幡神社（石狩市）、室蘭八幡宮（室蘭市）、住吉神社（小樽市）など多くの神社が函館八幡宮から勧請創祀されました。

明治時代に入ると、開拓使は明治4年（1871年）に函館八幡宮を崇敬社と定め、明治10年（1877年）には国幣小社に列格しました。しかし、翌年には社殿が類焼により焼失。官費によって現在地に社殿が再建され、明治13年（1880年）に遷座しました。その後、明治29年（1896年）には国幣中社に昇格、戦後は神社本庁に参加し、昭和23年（1948年）には別表神社となりました。

壮麗な社殿と盛大な祭祀

現在の社殿は、明治45年（1912年）から大正4年（1915年）にかけて改築されたものです。本殿、幣殿、拝殿が権現造風に結合した壮麗な建物で、本殿は聖帝造（日吉造）という独特の様式を採用しています。日吉大社（滋賀県）本殿を参考に造られており、その様式は大変見事です。屋根は銅板葺きで、全体として聖帝八棟造と称されています。

例祭は8月15日に行われ、前後3日間は盛大な祭儀が執り行われます。例祭後には隔年で神輿渡御祭があり、市指定文化財である神輿が市内を巡幸します。神輿が参道の石段134段を駆け上がる様子は、見どころの一つです。

摂末社と文化財

函館八幡宮には、鶴若稲荷神社や豊川稲荷神社などの摂末社もあります。これらの社もそれぞれに歴史と信仰を集めてきました。また、明治27年（1894年）製造の八角形の神輿は、函館市有形文化財（工芸）に指定されており、その精緻な造りも見所です。

函館八幡宮は、長い歴史と深い信仰に支えられた、北海道を代表する神社の一つです。その壮麗な社殿と、盛大な祭祀は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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