切り抜き動画

切り抜き動画の概念と影響

切り抜き動画（きりぬきどうが）は、元となる動画から特定の部分を抜粋して再編集・投稿された映像のことを指します。この種類の動画は、視聴者に元の動画の魅力や配信者の特色を伝える目的で作られますが、単に転載するのとは異なり、独自の編集が加えられることが特徴です。

切り抜き動画の主なプラットフォーム

切り抜き動画は、主にYouTubeやTikTokのようなショート動画プラットフォームで広く利用されています。また、ニコニコ動画、Twitch、Instagramなどのライブ配信や、テレビやラジオの番組からも切り抜きが行われることがあります。多くの切り抜き動画は、「切り抜き職人」と呼ばれる編集者によって制作され、彼らは元動画の配信者や制作事務所からの許諾を得た上で投稿します。また、配信者自身が公式に切り抜き動画を作成する場合もあります。

収益化と配分

切り抜き動画で得られる収益は、通常、元動画の配信者と切り抜き動画の制作・投稿者との間で分配される仕組みです。YouTubeにおいては、これまでは配信者が収益分配の比率を自由に決めていましたが、2024年7月時点では切り抜き動画による収益化は認められない方針に変更されています。ただし、UUUMなど一部の事務所では切り抜き動画に関する二次創作の収益プログラムを提供している事例も存在します。

切り抜き動画の利点

切り抜き動画にはいくつかの利点があります。まず、視聴者にとっては、長時間の動画から重要な部分だけを効率的に視聴できるため、時短に繋がります。これは、情報を迅速に取得したいと考える世代に特に適しているといえるでしょう。

さらに、切り抜き動画を通じて新たな視聴者を獲得することも可能です。切り抜き動画を見た視聴者が元動画を知り、登録者として促進されるケースがあります。たとえば、著名人の西村博之氏は、切り抜き動画のおかげで自身のYouTubeチャンネルの登録者が急増したと述べています。また、企業もプロモーションの手段として切り抜き動画を利用することがあります。例えば、フジテレビはドラマやバラエティ番組の公式切り抜き動画を利用し、視聴者の関心を得ることに成功しています。

知名度の向上と事例

切り抜き動画は元の配信者にとっての知名度向上に寄与することもあります。ウェザーニュースが提供する気象情報番組では、切り抜き動画の利用がファン層の拡大を助け、視聴者数を増加させる効果をもたらしました。また、地方政治でも広島県の市長が自身の活動を広めるために切り抜きの利用を許可し、その結果として数十万人の登録者を獲得しました。彼はさらに東京都知事選挙でも切り抜き動画を通じて自身の支持を得ることに成功しました。

問題点と反省

一方で、切り抜き動画には問題点も存在します。編集による誤解を招くような悪意ある内容が作成される場合があり、これが当事者への中傷やトラブルに繋がることがあります。VTuberの星川サラは、こうした理由から切り抜き禁止を発表した経緯があります。また、無許可の切り抜きは著作権法に違反する可能性があり、法的なリスクもあります。

さらに、切り抜き動画がプロモーションに利用されることで、各プラットフォームのポリシーに反するのではないかという懸念も出てきています。2024年7月には、ホロライブ関連の切り抜き動画がYouTubeの収益化条件に違反しているとして取り扱われる事例も確認されました。

結論

切り抜き動画は、視聴者にとって利便性の高いコンテンツであり、元の配信者にとっては知名度向上の手段となり得ます。しかし、そのプロセスに伴う法律や倫理的な側面についても慎重に考える必要があります。

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