切畑健

切畑健：日本の伝統服飾研究の第一人者

切畑健氏（1936年5月7日生まれ）は、日本の伝統服飾に関する深い知識と経験を持つ研究者であり、京都国立博物館名誉館員でもあります。長年にわたる研究活動と教育活動を通じて、日本の伝統文化の継承と発展に大きく貢献しました。

経歴

大阪市に生まれた切畑氏は、京都市立美術大学日本画科を卒業後、京都国立博物館に勤務。そこで、調査資料室長や普及室長などの要職を歴任しました。その後、大手前女子大学文学部教授として後進の育成にも力を注ぎ、2007年に退職しました。博物館勤務時代から大学教授時代まで、日本の伝統服飾に関する研究を精力的に続け、数多くの著書や論文を発表し続けてきました。その研究対象は幅広く、能や狂言の装束、友禅、小袖、西陣織、雛人形など、日本の伝統衣装のあらゆる側面を網羅しています。

研究内容と業績

切畑氏の研究は、単なる衣装の記述にとどまらず、歴史的、文化的、芸術的視点からの考察を重視しています。それぞれの衣装が作られた背景、使われた技法、そこに込められた思想などを深く掘り下げ、日本の伝統文化の豊かさを明らかにしました。

例えば、能や狂言の装束に関する研究では、それぞれの演目や役柄に合わせた衣装の細部へのこだわりや、時代変遷による変化を詳細に分析。さらに、友禅や辻が花などの染織技術についても、その歴史や技法、美意識について、数多くの研究成果を残しています。

主要な著書

切畑氏は、研究成果を多数の著書にまとめて発表しています。その著作は、学術的な内容を分かりやすく解説している点が特徴であり、専門家だけでなく、一般の人々にも広く読まれています。主な著書として以下が挙げられます。

『岡山美術館名品集 第5集 服飾 美術撰集』
『狂言の装束 素襖と肩衣』
『友禅 美を生む手と伝統』
『近代裾文様』
『御所解模様帖』
『半襟 ゑり善所蔵』
『華友禅 ベレー会会員作品集』
『辻が花』
『染と織の文化史』
『興福院所蔵刺繍掛袱紗』
『狂言の装束』
『能装束』
『若草頌 子どもの衣裳 田村コレクション』
『歌舞伎衣裳』
『名物裂』
『雛人形』

これ以外にも、共編著や責任編集として多数の書籍を世に送り出し、日本の伝統服飾研究に多大な貢献を果たしています。これらの著作は、日本の伝統衣装を学ぶ上で貴重な資料となっています。

まとめ

切畑健氏の研究活動は、日本の伝統服飾研究に大きな足跡を残しました。その多岐にわたる研究内容と、分かりやすい解説で書かれた数々の著書は、日本の伝統文化を理解する上で貴重な資源となっています。氏の功績は、日本の伝統文化の継承と発展に大きく貢献しており、今後も高く評価されるでしょう。

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