切通し

切通しとは

切通し（きりどおし）とは、山や丘などの地形を部分的に切り開いて、人や馬が通行できるように作られた道のことを指します。トンネルを掘る技術が未発達だった時代には、山間部などの難所を通過するための重要な手段として広く用いられてきました。

切通しの歴史と役割

明治時代以前、トンネルを掘る技術がまだ確立されていなかった頃、山地や丘陵地を通過する道路を建設する際、切通しは不可欠な技術でした。地形を直接切り開くことで、トンネル工事よりも比較的安価かつ迅速に道を作ることができたため、多くの場所で採用されました。

現代においても、トンネル工事と比較して費用を抑えられる場合や、既存のトンネルを拡張する際に、土被りが浅いなどの条件によっては、トンネルを取り壊して切通しに変更されることがあります。

切通しは、街道を整備する上で重要な役割を果たし、地域によっては、防御のために狭く作られたものや、多くの人が同時に通行できるような広いものまで、様々な形態が存在します。

また、市街地においても、建物を撤去して新たな道路を設けた場合や、その場所が地名として残っていることもあります。このように、切通しは交通路としての役割だけでなく、地域文化や歴史を語る上でも重要な存在です。

各地の切通し

鎌倉の切通し

鎌倉は、源頼朝が幕府を開いた地として知られていますが、その地形は南が海、他の三方が山に囲まれた閉鎖的な場所でした。防御には適していましたが、交通の便が悪かったため、周辺地域との往来を確保するために、いくつかの切通しが整備されました。これらの切通しは、鎌倉の歴史を今に伝える貴重な遺産となっています。

姉川の切通し

滋賀県長浜市大井町の姉川の堤防には、住民の通行のために堤防の一部を切り下げて作られた切通しがあります。この切通しは、堤外地の畑へのアクセスを容易にするためのものでしたが、大雨などの際には浸水のリスクがありました。2017年の台風5号では、実際に切通しから溢水が発生したため、閉鎖されることとなりました。

その他

切通しに関連する用語として、掘割（ほりわり）や切土（きりど）などがあります。掘割は、地面を掘り下げて作った通路で、切通しと類似した構造を持つ場合があります。切土は、地面を削り取って平らにする工事を指し、切通しを建設する際にも用いられます。

また、鎌倉七口は、鎌倉の防御のために設けられた7つの切通しのことで、歴史的な名所として知られています。湯島切通し坂は、東京都文京区にある坂道で、かつて切通しであった場所がその名残をとどめています。

出典

地名辞典 ONLINE「切通」（更新日不明）：https://jname.jp/dictionary/14812/

関連項目

切土
掘割
鎌倉七口
日本の古代道路
湯島切通し坂

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