刈萱 (駆逐艦)

駆逐艦「刈萱」（かるかや）

「刈萱」は、大日本帝国海軍に所属した若竹型駆逐艦の第八番艦にあたる艦艇です。その建造は藤永田造船所によって担われました。

艦の変遷と命名

本艦は、当初「第十八駆逐艦」として計画・建造が進められました。1923年（大正12年）3月には無事に進水し、同年8月20日には竣工を果たします。その後、艦艇呼称の変更に伴い、1924年（大正13年）4月1日には「第十八号駆逐艦」と改称されました。そして、1928年（昭和3年）8月1日付けで、正式な艦名である「刈萱」が付与されることとなりました。

戦時下の任務

昭和に入り、国際情勢が緊迫する中で、「刈萱」もまた戦時体制に組み込まれていきます。1937年（昭和12年）に日中戦争が勃発すると、「刈萱」はこれに参戦し、中国南部の沿岸地域において行われた様々な作戦行動に加わりました。

さらに1941年（昭和16年）、太平洋戦争が開戦した後も、本艦は駆逐艦としての任務を継続しました。主な活動内容は、重要な物資や兵員を輸送する船団の護衛、そして警戒・監視を行う哨戒任務であり、これらの任務を通じて、厳しい戦況下での海上交通の維持に貢献しました。

最期の瞬間

「刈萱」の艦歴は、太平洋戦争も後半に差し掛かった1944年（昭和19年）5月10日、突然の形で閉じられます。この日、フィリピン近海にて、護衛任務にあたっていたミ03船団と共に航行中の「刈萱」は、ルソン島沖、北緯14度50分、東経119度20分の海域で、アメリカ海軍の潜水艦「コッド」による魚雷攻撃を受けました。この攻撃により、2本の魚雷が命中し、「刈萱」は深刻な損傷を負い、そのまま戦没しました。多くの船団が潜水艦の脅威に晒される中で、「刈萱」もまたその犠牲となったのです。

歴代艦長

「刈萱」およびその前身である「第十八駆逐艦」「第十八号駆逐艦」の指揮を執った主な歴代艦長（艤装員長、駆逐艦長）は以下の通りです。

原顕三郎 少佐
艤装員長: 1923年3月10日 - 1923年8月20日
駆逐艦長: 1923年8月20日 - 1925年12月1日
中原達平 少佐: 1925年12月1日 - 1926年11月1日
猪瀬正盛 大尉: 1926年11月1日 - 1927年12月1日
矢野志加三 少佐: 1927年12月1日 - 1928年12月10日
伊藤 皎 少佐: 1928年12月10日 - 1929年11月1日
渋谷紫郎 少佐: 1929年11月1日 - 1932年4月1日
有田 貢 少佐: 1932年4月1日 - 1933年5月25日
藤田友造 少佐: 1933年5月25日 - 1933年11月15日
一門善記 少佐: 1933年11月15日 - 1934年1月11日
中津成基 少佐: 1934年1月11日 - 1934年2月1日 (兼務)
勢 経雄 少佐: 1934年2月1日 - 1934年10月22日
山隈和喜人 少佐: 1934年10月22日 - 1935年11月15日
笹川 博 大尉: 1935年11月15日 - 1937年12月1日
吉田正一 少佐: 1937年12月1日 - 1938年8月1日
千本木十三四 少佐: 1938年8月1日 - 1940年6月15日
花見弘平 大尉: 1940年10月15日 - 1941年9月1日
中尾小太郎 少佐: 1941年9月1日 -
益 満行 大尉: 1942年10月13日 -
* 島田喜与三 大尉: 1944年3月5日 -

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