刑事定年

『刑事定年』は、BS朝日開局10周年を記念して制作された連続ドラマです。2010年10月27日から12月29日まで、毎週水曜22時台に放送されました。主演は、数々の刑事ドラマで活躍してきた柴田恭兵。本作では、定年退職した元刑事を演じ、刑事としての過去を背負いながら、新たな生活を送る姿を描いています。

物語の舞台は、猪瀬家という家庭内が中心です。カメラ6台を駆使し、舞台劇のような演出が特徴的で、限られた空間の中で繰り広げられる人間模様を丁寧に映し出しています。撮影期間はわずか1ヶ月と短く、1話あたり約3日間という驚異的なスピードで制作されました。この手法は、後のドラマ制作にも影響を与えています。

キャッチコピーは「俺はもう、刑事じゃない。」。この言葉が示すように、主人公は刑事としての肩書を失い、一人の人間として、家族や社会との関わりを再構築していきます。

登場人物

猪瀬家

猪瀬直也（演：柴田恭兵）：
定年退職した元刑事。警察官時代は、容疑者を信じすぎる一面がありましたが、その人柄から周囲からの信頼も厚かった。退職後は、時間を持て余しつつも、ジョギングやバットの素振りなどを楽しむ。禁煙中。
猪瀬早季子（演：浅田美代子）：
直也の妻。ボランティアやフラダンスに熱心で、忙しい日々を送る。夫の刑事時代を「警察病」と呼び、定年後は距離を置こうとするが、心の奥底では夫を理解しようとしている。
猪瀬真紀（演：田丸麻紀）：
直也の娘。証券会社に勤務し、一人暮らしをしている。両親の会話がないことを心配し、「夫婦の自主トレ」を勧める。過去にはいじめや非行を経験し、父の不在に寂しさを感じていた。

警視庁隅田川署

多田野弘（演：金田明夫）：
直也の元同僚で、隅田川署の刑事。新人刑事の指導官も務める。妻に家出された過去を持ち、猪瀬家に愚痴をこぼしに来る。直也に「女房を大事にしろ」と忠告する。
佐伯正史（演：中林大樹）：
隅田川署の新人刑事。料理学校に通っている。

大場組

李昭信（演：春川恭亮）：
大場組組員。行き場を失っていたところを大場に拾われた。
大場義成（演：山田明郷）：
大場組組長。地元ヤクザの親分で、周辺情報に詳しい。直也とは旧知の仲で、直也を「先生」と慕う。面倒見が良い。


ゲスト

各話に様々なゲストが登場します。

今西素子（演：かたせ梨乃）：
第1話に登場。隅田川署の常連で、殺人を犯したと自首しにやって来る。
中脇達夫（演：相島一之）：
第2話に登場。警官の銃を奪って逃亡中の容疑者。
多田野靖子（演：あめくみちこ）：
第3話に登場。弘の妻。家出していたが、後に戻ってくる。最終回では、弘との離婚裁判に発展する。
マリア（演：シルビア・グラブ）：
第3話に登場。カラオケクラブの従業員。弘の浮気相手として疑われる。
尾車（演：高杉亘）：
第4話に登場。自首寸前に猪瀬家で預かることになった男。不器用な性格で、高倉健が好き。
大場カズ子（演：峯村リエ）：
第4話に登場。大場組組長夫人。夫の浮気を疑い、猪瀬家へ訪れる。
三上昇（演：國村隼）：
第5話に登場。猪瀬家に空き巣に入った男。20年以上前に青森から出稼ぎで上京。
中川真（演：染谷将太）：
第6話に登場。人生に絶望して極道に入ろうとする浪人生。
中川裕弥（演：陰山泰）：
第6話に登場。真の父で、弁護士。
中川康代（演：山口美也子）：
第6話に登場。真の母。
野上勝市郎（演：仲村トオル）：
第7話に登場。日比谷署の敏腕刑事。
柳田留璃子（演：若村麻由美）：
第7話に登場。フリージャーナリスト。
猪瀬源蔵（演：夏八木勲）：
第8話に登場。直也の父。
高樹隆史（演：TETSUYA）：
第9話に登場。真紀の婚約者。ミュージシャン。
江田島四郎（演：田窪一世）：
第9話に登場。町内会長。葬儀屋を営んでいる。
濱田邦夫（演：矢柴俊博）：
第9話に登場。駅前の本屋の店主。刑事ドラマサークルの仲間。
新橋エイ子（演：山野海）：
第9話に登場。パン屋で働くパートタイマー。同じく刑事ドラマサークルの仲間。
井上和香（写真出演）：
最終回に登場。弘が隠していた写真の女性。

スタッフ

脚本：鎌田敏夫、金子成人、樫田正剛
演出：佐藤祐市、後藤庸介
音楽：P.P.M（林久美子）
* 主題歌：「Don't Cry〜もう悲しみを許そうか」鈴木雅之

『刑事定年』は、刑事ドラマでありながら、家族の温かさや日常の機微を丁寧に描いた作品です。退職後の人生をどのように生きるか、人間関係の難しさや大切さを考えさせられるドラマです。

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