刑事訴訟費用等に関する法律

刑事訴訟費用等に関する法律は、日本の刑事手続において発生するさまざまな費用について定める重要な法律です。正式には昭和46年法律第41号として1971年に公布されました。この法律の目的は、刑事事件に関連して発生する訴訟費用の範囲と内容を明確に規定することにあります。

この法律が制定される以前は、大正10年法律第68号として制定された「刑事訴訟費用法」や、昭和19年法律第2号の「訴訟費用臨時措置法」が訴訟費用の規定を担っていました。しかし、これらの古い法律には、現代の法制度や実務に照らして多くの不十分な点が指摘されていました。特に、法律の規定だけでは対応できない部分が多く、その解釈や裁判所の実務上の慣行によって不足が補われている状態でした。

このような状況を改善し、訴訟費用に関する規定を体系的かつ明確にするため、本法は民事訴訟における費用を定める民事訴訟費用等に関する法律と同時期に制定されたのです。これにより、刑事・民事両方の訴訟費用に関する法的根拠が整備されました。

刑事訴訟費用等に関する法律が規定する訴訟費用には、具体的に以下のものが含まれます。

裁判の審理が行われる公判期日や、それに向けた準備手続きである公判準備に出頭させられた証人や、これらの場で証拠として取り調べられた関係者に対して支払われるべき、交通費にあたる旅費、その日の労働に対する日当、そして宿泊が必要な場合の宿泊料。
公判期日や公判準備の過程で、専門的な知識や技術に基づいて判断を行う鑑定人、言語の壁を取り払う通訳人、または文書などの内容を別の言語に変換する翻訳人に対して支払われるべき費用です。これには、鑑定、通訳、翻訳の作業自体に対する報酬である鑑定料、通訳料、翻訳料に加え、その作業を行う上で必要となったその他の費用の支払いまたは償還が含まれます。
* 刑事訴訟法第38条第2項に基づき、特定の条件下で被告人に対し付けられる弁護人（国選弁護人など）に支給されるべき費用です。具体的には、事件に関わるための移動に必要な旅費、活動日に対する日当、遠隔地での活動に伴う宿泊料、そして弁護活動全体に対する報酬が含まれます。これらの費用は、被告人の権利保障と公正な裁判の実現に不可欠な弁護活動を支えるために定められています。

この法律は、刑事手続が円滑かつ適正に進められるために必要な経済的側面を規定しており、関係者への正当な補償や、弁護活動の維持などを保障する役割を果たしています。訴訟費用の範囲と基準を定めることで、手続の透明性を高め、関係者の権利義務を明確にしています。

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