初姫

初姫の生涯

初姫（はつひめ）は、1602年8月25日に江戸城の西の丸または伏見城で生まれました。彼女は徳川秀忠の四女として、安土桃山時代から江戸時代初期という歴史的背景の中で生きました。初姫の母は、太閤豊臣秀吉の養女であり、江（浅井長政の三女）でした。初姫は小浜藩主である京極忠高と結婚し、号は興安院でした。

彼女の結婚は、慶長11年（1606年）に行われました。忠高との婚姻には特別な意図がありました。忠高の父である高次の正室には実子がいなかったため、初姫は江の長女として養女に迎えられました。この結婚により、徳川家と京極家の関係が一層強化され、また、京極家における初姫の立場も安定したものとなったと考えられています。

その背景には、初姫誕生時のエピソードもあります。一説によれば、初姫の母・江が伏見で女児を出産した際、祝いに訪れた浅井初（常高院）がこの子を京極家に嫁に迎えたいと願い、江が同意したことで初姫の名が付けられたとされています。

しかし、二人の結婚生活は必ずしも円満ではありませんでした。夫婦間の関係は冷え切っていたようで、初姫と忠高の間には子供も生まれず、彼女が忠高の悪口を耳にしたこともあったと伝えられています。その際、初姫は父秀忠に相談したという記録も残っています。

初姫は寛永7年（1630年）3月4日に病に倒れ、享年29でありました。彼女の葬儀は同月14日に小石川伝通院で執り行われ、彼女はこの地に葬られました。戒名は興安院殿豊誉天清陽山大姉とされています。また、葬儀には彼女の夫・忠高は出席しなかったとされ、彼はその時に相撲観戦に興じていたというから、初姫がどのように扱われていたかが伺えます。

伝通院は徳川家と深い関係があったため、彼女の葬儀には京極家からの立ち会いも許可されなかったことが文献からも確認されており、忠高が初姫にどのような感情を抱いていたのかは悲しい事実として伝わっています。

初姫の生涯は、背景に政略がありながらも、夫婦としての絆が薄かったことが印象的です。彼女の短い人生とその後の扱われ方は、当時の女性の立場や政略結婚の難しさを反映したものとして、多くの人々の記憶に残ることでしょう。

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