初実剣理方一流

初実剣理方一流について

初実剣理方一流（しょじつけんりかたいちりゅう）は、理方一流にルーツを持つ美作津山藩の剣術流派です。この流派は、旧表記では初實劔理方一流とされ、理方今枝流や理法一流、また理方一流など、様々な名称でも知られています。特にこの流派は、居合技術の一つである「抜方」に重点を置いており、居合道の技術がしっかりと受け継がれています。また、杖術も流派の中で重要な位置を占めています。「理方」という名称は、理論や方法論を意味し、剣術の背後にある理論的な側面も大切にされています。さらに、その流派には甲冑技術についての伝承も存在しています。

津山藩では、初実剣理方一流とは異なる文脈で秋元甚兵衛が開いた今枝流秋元派が伝わっており、幕末までその流派は存続していました。しかし、明治時代に入ると、この今枝流秋元派は初実剣理方一流に合流し、以降はこの流派として活動を続けています。現在、初実剣理方一流剣術は日本古武道協会にも参加しており、同じ協会の中には「初実剣理方一流甲冑抜刀術」という分派も存在します。この分派は、十六代目の大山十三郎から印可を受けた藤田金一が立ち上げたもので、演武の際には甲冑を着用し、試し斬りなども行われています。

流儀の内容

初実剣理方一流の中心技は「初実剣（旧字：初實剱）」と称されるもので、これは流派の基本かつ極意とされています。この技は、甲冑由来と伝えられるもので、腰を屈めて下方から勢いよく刀を抜き、切り上げる「刎截（はねきり）」が特徴です。さらに、座法に関しては立膝や半安座（大座）といった古式的な形態が採用されています。二の太刀を振る際には、太刀を左に回転させながら斬り下ろすという、伝統的な手法が用いられます。また、残心や血振りに関する技法も伝承されており、「止」で刺す技巧や納刀時に親指と人差し指で刀を挟み血糊を拭うなど、古武士の厳格な刀法も学びます。

稽古の際には、日本刀や居合刀ではなく、鞘付き木刀を用います。流派の教えによれば、技が完成された段階では、この鞘木刀を使って立ち木を斬る力を得られるとされています。

流名の変遷

歴史的には、良臺の孫である今枝良眞が流派名を理方一流剣術に改名し、その後、理方一流を津山藩に伝えた本郷真富が流派名の由来ともされています。特に、表の基本形である「初実剣」という名称が流派名に付け加えられ、「初実剣理方一流剣術」と改称されたという説も存在します。一方で、津山藩に伝わる前から初実剣理方一流を名乗っていた可能性もあり、今枝良尚による安永2年（1773年）の記録や、薄利藩の師範今枝良温が記した伝書『初實剱理兵技録』は、その解釈による証拠として考えられています。

このように、初実剣理方一流は多くの歴史と伝統を持つ流派であり、現代においてもその技術と精神が受け継がれています。

初實剣理方一流剣術 第39回日本古武道演武大会 - YouTubeにて、演武の様子をぜひご覧ください。

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