初宮参り

初宮参り（お宮参り）とは

初宮参り（はつみやまいり）は、赤ちゃんが無事に生後1か月を迎えたことを産土神（うぶすながみ）に感謝し、健やかな成長を祈る日本の伝統的な行事です。一般的に「お宮参り」と呼ばれています。

風習

日本では、赤ちゃんの誕生を祝い、その健やかな成長を願って、生後約1か月目に両親と父方の祖母が付き添って神社にお参りする風習があります。古くは、男児は生後32日目、女児は33日目に、乳母または親戚の女性が赤ちゃんを抱き、宮参り着と呼ばれる晴れ着を被せて参詣していました。

時期

一般的には、男の子は生後31日または32日目、女の子は32日または33日目に行われることが多いですが、地域によって異なります。最近では、生後1か月頃を目安に行われることが一般的です。京都では、女の子が早く嫁に行けるようにと、男の子よりも早い時期にお宮参りを済ませる風習があります。

宮参り着

宮参りには、赤ちゃんに晴れ着を着せます。男の子の場合は、黒や紺などの地色に、鷹や兜などの勇ましい柄が描かれたものが一般的です。女の子の場合は、赤やピンクなどの地色に、花柄や鞠などの可愛らしい柄が描かれたものが一般的です。

地方習俗

あやつこ（綾子）

「あやつこ」とは、子供のお宮参りの際に、鍋墨や紅などで額に「×」や「犬」の字を書く風習のことです。これは魔除けの意味があり、犬の子はよく育つということから、子供の健やかな成長を願う意味も込められています。この風習は全国的に行われているわけではありませんが、一部の地域では現在も行われています。

古文献によると、「あやつこ」は紅で書かれていましたが、紅は都の上流階級でのみ使われたため、一般庶民は鍋墨で書くのが決まりでした。鍋墨を額につけることは、家の神である荒神の庇護を受けていることの証でもありました。東北地方では、この印を書くことを「やすこ」と呼ぶ地域もあります。お宮参りだけでなく、神事に参列する稚児が同様の印を付ける例もあります。

「あやつこ」を付けたものは、神の保護を受けていることを示すとされ、触れることが禁じられていました。後には子供の事故防止のおまじないとしても広く用いられるようになりました。柳田國男の『阿也都古考』によると、奈良時代の宮女にも「あやつこ」の影響を受けたと思われる化粧の絵が見られ、物品にもこの印を付けることがあったそうです。

雪隠参り

関東地方には、生後7日目に雪隠（便所）に参るという類似の風習があります。これは、産神の元を離れ、この世で再生する儀礼とされています。

参考文献

『冠婚葬祭・暮らしのマナー大百科』日本文芸社、2005年、ISBN 978-4537203653。

外部リンク

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