初期雇用契約

初期雇用契約（CPE）について

初期雇用契約、通称CPE（Contrat première embauche）は、2006年にフランスで導入された若者向けの雇用形態です。この法律は、特に26歳未満の若者が対象であり、試用期間を従来の3か月から最大2年間に延長することを求めるものでした。この法案は、フランスにおける若年失業率が1990年代から20%前後という深刻な状況を反映したものであり、政府が雇用創出を促進するために策定したものでした。

当時のフランス首相であったドミニク・ド・ビルパンによって提案されたこの法律は、雇用者側にとって柔軟な雇用条件を提供し、若者の雇用機会を拡大することを目的としていました。無期限雇用契約（CDI）が主流であったフランスでは、雇用の流動性を高める必要があるとされ、特に若者の安定した職を得る道を開くための方策として期待されていました。

しかし、このCPEは成立早々に多くの反対に直面しました。学生や労働組合からの猛烈な抗議があり、全国規模のデモやストライキが展開される事態に発展しました。労働者たちは、CPEが容易に解雇を可能にする点や、労働者の権利を侵害するものであると批判しました。こうした抗議行動が大規模に広がる中、フランス政府は法案を撤回せざるを得なくなりました。2006年4月10日、この法案は正式に撤回され、CPEは形だけの存在となったのです。

日本では新卒一括採用が主流ですが、フランスではその文化があまり根付いていません。CPEはフランスにおいて労使双方にメリットがあるとされ、若者の職業機会を創出する試みでした。近年、日本でも試用期間を重視した試行雇用契約の導入が検討されていますので、CPEの事例は日本における雇用の仕組みを再考する上でも重要な意味を持つでしょう。

このように、CPEの導入と撤回は、若者の雇用問題に対する社会的な関心を呼び起こしました。雇用保護規制の見直しや、若年失業を解消するための方策は、今後の労働市場における重要なテーマとなるでしょう。フランスや日本の事例を通して、労働契約のあり方や若者の雇用支援策についての議論が今後も続いていくことが期待されます。

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