初瀬 (戦艦)

初瀬（はつせ）：日本海軍の戦艦

初瀬は、日本海軍に属する戦艦で、敷島型の第三艦にあたります。艦名は奈良県を流れる初瀬川に由来しています。1996年から続く10カ年計画の一環として、イギリスのアームストロング社で建造され、1898年に起工されました。進水は1899年、竣工は1901年1月18日でした。

艦歴の始まり

艦は日露戦争に参加するため横須賀を出港し、1904年2月には旅順口攻撃に加わりました。その中で、旅順港閉塞作戦にも従事し、日本海軍の戦力の一端を担いました。技術的には、初瀬は一等戦艦に類別され、当時の日本海軍にとって重要な艦船でした。しかし、日露戦争の激戦の中で、多くの戦死者を出すことになります。

沈没の瞬間

1904年5月15日、初瀬は第一戦隊の旗艦として旅順港の閉塞作戦に従事していた際、ロシア海軍が敷設した機雷に接触しました。午前11時頃、艦が左舷に触雷し、すぐに航行不能となります。乗組員たちはこの時、好天に安心しきって警戒を怠っていました。救援に向かう他の艦も次々と危険にさらされ、特に僚艦「八島」も触雷の運命に見舞われ、夕刻に沈没しました。

その後、初瀬の救援に駆けつけた「笠置」が初瀬を曳航する準備をしている際、再び触雷し、艦尾に大爆発が発生。初瀬はそのまま沈没しました。最終的には、初瀬と年表に記されている戦死者は492名を数え、乗員834名中337名が生存しました。

救出作業と影響

沈没後、初瀬の生存者たちは迅速な救助が行われ、他の艦によって救出されました。しかし、この事件に伴い、日本海軍は戦艦6隻のうちの2隻を失ったことで、大きな打撃を受けました。この事態は、海軍の艦艇緊急補充を提案する動きにつながり、装甲巡洋艦の国産化や潜水艇の建造が急がれるようになりました。

歴史的影響

初瀬の沈没は日本海軍の歴史の中で暗い出来事であり、時間と共に日本海軍の戦力回復に向けた方向性を見出す契機となりました。さらに、1935年には昭和天皇が称号を選択する際に「泊瀬（初瀬）」を候補としたことが記録されています。

初瀬の名前は、今なお日本の海軍史に残る象徴的な存在となり、当時の艦船がいかに激しい戦闘の中で失われていったかを物語っています。海軍は、儀式による鎮魂や記憶をこの艦の名に託し、歴史的な教訓として受け継いでいます。

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