初瀬

初瀬（はせ）

初瀬は、奈良県桜井市に位置する地名で、古くは「はつせ」と呼ばれ、「泊瀬」とも表記されました。この地は、西国三十三所第八番札所である長谷寺がある初瀬山を中心に発展しました。

概要

泊瀬という名前は、『万葉集』にも見られ、大和川が東から大和盆地に流れ込む場所であり、古代においては船着き場として重要な役割を果たしていました。上流は三輪山の南麓に沿って続く谷となっており、万葉の歌にもその風景が詠まれています。

また、初瀬は東国への交通の要衝でもあり、古代の皇室が支配していたとされています。崇峻天皇の諱である「泊瀬部」や、厩戸皇子（聖徳太子）の子である泊瀬王の名にも、この地の名が使われています。

紀貫之の歌「人はいさ　心も知らず　ふるさとは　花ぞ昔の　香ににほひける」は、初瀬を訪れるたびに宿としていた家を久しぶりに訪れた際に詠まれたもので、貫之が長谷寺に何度も参拝していたことを示唆しています。この歌は、『古今和歌集』や『百人一首』にも選ばれており、長谷寺境内には歌碑と貫之梅があります。

泊瀬朝倉宮

雄略天皇が当地に泊瀬朝倉宮を置いたとされていますが、その正確な所在地は考古学的には確定していません。有力な候補地として、磐坂谷や天の森が挙げられていますが、決定的な証拠は見つかっていません。また、桜井市脇本の脇本遺跡も候補地とされ、発掘調査が行われています。

泊瀬列城宮

武烈天皇は、初瀬から少し下った出雲に泊瀬列城宮を置いたとされています。この場所は、現在の十二柱神社周辺とされ、石碑が残っています。

名所旧跡

長谷寺

真言宗豊山派の総本山であり、西国三十三所第八番札所です。天武天皇の時代に創建され、本堂は国宝に指定されています。山門前から山麓にかけての参道には、門前町が広がっています。

法起院

西国三十三所番外札所です。

茶房長谷路（山田酒店）

江戸時代に建てられた邸宅で、日本庭園や6棟の建物が国の登録有形文化財に指定されています。カフェレストランと版画美術館として公開されています。

大和玉仙閣美術館

交通

鉄道

近鉄大阪線長谷寺駅が最寄り駅です。

道路

国道165号線が初瀬街道として知られ、かつてはお伊勢参りをする人々で賑わいました。

脚注

関連項目

長谷川
門前町
参道

外部リンク

大和・町家バンクネットワーク：地区のご紹介-桜井市・初瀬
* 初瀬観光協会公式ホームページ

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