初級滑空機

初級滑空機（プライマリーグライダー）

初級滑空機とは、航空法における特定の滑空機の分類として、日本国内で運用が可能な機体を指します。この機体は、他の滑空機と異なり、操縦士や整備士免許、さらには機体の耐空証明が無くとも運用できるという大きな特徴があります。ただし、機体には登録番号が必要です。

概要

初級滑空機は、滑空機を動力の有無、または特定の飛行方法に基づいて四つの等級に分類する中で、最もシンプルなモデルです。最大の利点は、運用にあたり資格や技術証明が一切必要ないため、初心者や趣味として飛行を楽しむ人にとって非常に扱いやすい存在であることです。必要なものは機体と飛行が可能な空間のみであり、これにより初歩的な飛行訓練や個人の趣味としての利用が促進されてきました。

発航方法

初級滑空機は動力装置を搭載していないため、飛行中に使用されるのはバンジー曳航と呼ばれる手法です。この手法は、バンジーコード（ゴム索）を利用して機体を発射するもので、外部の動力（例えば、他の飛行機やウインチ）を必要としません。このため、簡単に初級滑空機を運用できる理由の一つとなっています。

日本国内における初級滑空機の歴史

日本では、初級滑空機はそのシンプルさや手軽さから広く利用されていました。特に1940年代には、軍用機のパイロット育成のために「文部省式1型」や「キ24」などの機体が多くの学校や訓練所に提供されました。また、多くの中等学校で公式なカリキュラムとして滑空訓練が行われ、学生たちは滑空機の操縦経験を持つことが一般的となっていました。しかし、太平洋戦争の終結に伴い、この分野に関するGHQによる航空開発の禁止令が出されたことにより、日本国内での滑空機の多くが失われてしまいました。そのため、1980年代以降は日常的な運用はほとんど見られなくなりました。

代表的な初級滑空機

国内の機体

• - キ24: 1930年代に試作された大日本帝国陸軍の初級滑空機で、ドイツのグライダーを基に立川飛行機が設計しました。
• - 文部省式1型: 1940年に文部省によって設計され、学校での滑空訓練用として使用されました。
• - K-14: 文部省式1型の代替機種として1944年に設計されましたが、量産には至りませんでした。
• - 若草: 1944年、大日本帝国海軍のために制作された練習機です。
• - プライマリーグライダーHAYABUSA: 2010年代に開発された子供が乗れる複葉グライダーで、航空イベントでも使用されています。

海外の機体

• - DFS Zogling: 1920年代のドイツ製練習グライダーで、非常に古い初級滑空機の一つです。
• - SG-38: 1940年代に広く用いられたドイツの教練グライダーで、今も一部の航空ファンによって使用されています。
• - T38グラスホッパー: 1950年代のイギリス製の初級滑空機で、主に空軍で利用されていました。

関連項目

• - グライダー: 初級滑空機に関連する飛行器の一種で、無動力での飛行を主な目的としています。
• - 霧ヶ峰: 日本におけるグライダー発祥の地として知られる地域で、その歴史や伝統が多くの人々に支持されています。

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