文部省式1型

文部省式1型

文部省式1型（もんぶしょうしきいちがた）は、1940年に日本で開発された初級滑空機であり、特に旧制中等学校の教育課程において利用されました。この機体は、滑空訓練の普及を目的として文部省が定めた標準的な滑空機であり、日本各地の中等学校や青年学校で幅広く使われました。

開発経緯

1938年、文部省は男子中等学校における滑空部の設立と滑空訓練の導入を推奨しました。そして、1940年4月には文部省標準型の初級滑空機の形式が発表されます。この設計は、文部省の体育官補である山崎好雄によって行われました。同年の5月中旬には、福田軽飛行機が試作機を製作しました。

その後、この機体の生産は複数の企業によって行われることになり、上記の企業が参加した日本滑空機工業組合のもと、全国の男子中等学校や青年学校に配布されました。

教育の変化と滑空機の普及

1941年9月になり、将来の軍用機パイロットの育成を目的として、文部省と陸軍省により滑空訓練が男子中等学校の正式な課程となることが決定され、1942年4月から実施されます。この結果、滑空訓練を行う中等学校の数は約700校から約2,000校に増加し、文部省式1型はこれらの学校に広がりました。当初目指された生産台数は約3,000機でしたが、最終的には約1,500機が製造されました。

さらに、海軍もこの滑空機を訓練用として取り入れ、多くの練習航隊で使用されました。そのため、文部省式1型は空軍と海軍の両方に貢献した重要な機体となったのです。

戦後の運命

第二次世界大戦終結後、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）からの指令によって多くの文部省式1型が廃棄されましたが、一部の機体はその後、滑空部が復活した新制中学校で使用されることになりました。1994年には、布施工科高等学校が復元した機体が近代化産業遺産に認定されるなど、文部省式1型の価値は今でも認められています。また、1988年には千葉工業学校出身者によって製作された復元機が稲毛民間航空記念館に寄贈され、展示されることになりました。

機体の仕様

文部省式1型は高翼単葉の構造を持ち、翼は木製で羽布が張られています。胴体も木製の骨組みで作られており、操縦席がむき出しの形状です。発航にはゴム索が使用され、教官の便乗がない単座機として設計されています。公定価格は当初580円でしたが、1941年12月には550円に変更され、その購入に際してはおおよそ200 - 300円の補助金が支給される仕組みでした。

諸元

• - 全長：5.55 m
• - 全幅：10.3 m
• - 翼面積：15.4 m²
• - 自重：90 kg
• - 全備重量：150 kg
• - 滑空速度：46.5 km/h
• - 乗員数：1名

文部省式1型は日本における初級滑空機の象徴的存在であり、その歴史や役割は今でも語り継がれています。

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