別府近鉄百貨店

別府近鉄百貨店は失われた百貨店の歴史

別府近鉄百貨店は、大分県別府市に位置し、かつて近鉄グループが運営していた百貨店です。この店舗は1958年に開業した中村百貨店を母体として、1960年に近鉄の支配下に置かれ、当店としての道を歩み始めました。最盛期には地上5階、地下1階の5層にわたる売場を持ち、地域の人々に愛される存在でした。

開業と環瀬戸内海構想

別府近鉄百貨店は、近鉄グループが進めていた環瀬戸内海構想の一環で設立され、別府ロープウェイの開業とあわせて地域発展を目指しました。店名が「別府近鉄百貨店」に変更されたのは1961年のこと。地域唯一の百貨店としての地位を確立し、その後も1968年と1974年の2回の増床を実施しました。

経営悪化と閉店

しかし、商圏が縮小し、1980年代には経営が厳しくなる時代が訪れます。特に1988年に地元百貨店のトキハが大型店舗を開店したことが追い討ちとなり、来客数の減少が顕著になりました。収益は下降線を辿り、1991年に近鉄百貨店と合併して近鉄百貨店別府店へと改名しましたが、業績は回復しませんでした。

最終的に、1994年に発表された閉店の決定は、経営環境の悪化が背景にあり、約50億円の累積赤字を抱えるまでに至りました。閉店日は1994年8月31日で、この日をもって別府市から一つの歴史が消えることになりました。

跡地の変遷

閉店後、本店の建物は2001年に解体が完了しました。その跡地は、2005年に本多産建に売却され、その後は地上15階建ての複合施設の計画があるものの、経済状況や融資問題により開発が遅れました。現在ではつるみカーパークとして立体駐車場が利用されており、その周辺も時代と共に変貌を遂げています。

交通アクセス

別府近鉄百貨店は、JR九州の別府駅からもアクセスが良く、徒歩2分の距離にありました。地域の交通機関である亀の井バスや大分交通も近くにバス停を設けており、非常に利便性の高い場所に位置していました。

法人の歴史と影響

別府近鉄百貨店は、九州における関西系百貨店の先鞭をつけた存在とも言え、同じく地方に展開した百貨店と密接に関わる歴史があります。また、他地域の近鉄百貨店の閉店や統廃合とも関連があり、地方経済の変遷を物語る重要な事例としても捉えられています。多くの人々にとって思い出深いスポットとして記憶され続けることでしょう。

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