別府鉄道土山線

別府鉄道土山線：短い歴史と個性的な車両たち

兵庫県加古川市別府町にあった別府港駅から、同県加古郡播磨町の土山駅を結んでいた別府鉄道土山線は、昭和59年（1984年）2月1日に廃線となりました。全長4.1kmの短い路線でしたが、その歴史と運行形態は、多くの鉄道ファンを魅了してきました。

開業と役割

土山線は、別府港にある多木化学（旧多木製肥所）や住友精化（旧製鉄化学工業）で製造された化学肥料や工業製品の輸送を主な目的として、国鉄山陽本線との連絡路線として開業しました。同じ別府鉄道の野口線と異なり、山陽本線に直接接続していたため、国鉄との貨物輸送が中心でした。しかし、旅客輸送も行われ、沿線住民の足としての役割も担っていました。

沿線と利用状況

沿線には住宅地、工場、農地が混在し、複数の団地も存在するなど、一定の人口密度を持つ地域でした。しかし、1日4往復という少ない列車本数の為、旅客利用客は決して多くありませんでした。

運行形態と車両

土山線は、機関車牽引の列車が運行されていました。貨物列車には客車が連結され、旅客も輸送する混合運行が一般的でした。別府港駅では、プラットホームに直接接続していない線路からの発車も多く、乗客は線路に降りて、車両のステップに足をかけて乗り込むという、現在では考えられない光景も見られました。

使用されていた車両も個性的です。ディーゼル機関車DB201は、貨物列車の牽引を担当。DC302は別府港での入換用として活躍しました。客車としては、ハフ5とハフ7が有名です。ハフ7は1926年製造の木造客車で、廃線当時も現役だったという、歴史的にも貴重な存在でした。これらの車両は、一部が現在でも保存されています。

歴史と変遷

土山線は、大正12年（1923年）3月18日に別府港～新土山（後の土山）間で開業。昭和7年（1932年）には中野駅が開設され、昭和41年（1966年）には川崎車輛工場前駅（後に信号所に変更）が開設されました。しかし、昭和59年（1984年）2月1日、全線が廃止されました。バス転換は行われず、多くの沿線住民に惜しまれつつ、その歴史に幕を閉じました。

未実現の計画と復活構想

土山線沿線では、大中遺跡という全国的に有名な遺跡が発見され、郷土資料館付近に「古代駅」の設置計画が持ち上がりました。しかし、遺跡保護の観点や路線の勾配などから、実現には至りませんでした。近年では、関西圏都市交通研究会が、加古川・高砂LRTとして、土山線の復活による野口線～別府港～土山間のLRT敷設を提言しています。土山線の歴史と魅力は、現代においても人々の記憶に残り、新たな可能性を模索されています。

駅一覧

別府港駅
中野駅
川崎車輛工場前信号所
土山駅

接続路線

別府港駅：別府鉄道野口線
土山駅：日本国有鉄道山陽本線

土山線は、短いながらも個性的な路線でした。その歴史と車両、そして復活への期待は、これからも人々の心を捉え続けることでしょう。

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