別所村 (兵庫県印南郡)

別所村

概要

別所村（べっしょむら）は、かつて兵庫県印南郡に属していた自治体です。現在の姫路市別所町を構成する各地域が、当時の村域にあたります。この村は明治期の町村制施行により成立し、昭和中期に周辺自治体とともに姫路市に編入されてその歴史を閉じました。

地理

別所村の村域は、いくつかの地理的特徴を有していました。山岳としては、南山や桶居山といった山々が村を取り囲むように存在し、地形に変化を与えています。また、村内には天川が流れ、地域にとって重要な水源や景観要素となっていました。

歴史

村の成立と廃止

別所村は、1889年（明治22年）4月1日、町村制が施行されたことに伴い、周辺の村々が合併して誕生しました。具体的には、旧別所村、小林村、北宿村、佐土新村、佐土村の区域が統合されて一つの自治体となりました。

その後、高度経済成長期に入り、全国的に自治体合併が進められる中で、別所村も再編の対象となりました。1957年（昭和32年）10月1日に姫路市に編入される形で廃止され、約68年間の村の歴史に幕を下ろしました。

昭和の大合併における経緯

昭和の大合併と呼ばれる自治体再編が進められる中、別所村の合併に関する議論も活発化しました。1953年（昭和28年）10月に町村合併促進法が施行されると、兵庫県は管内における合併計画を策定しました。当初の県の計画では、別所村は米田町を中心とする合併グループに位置づけられていましたが、「御国野村との合併も可能である」という留保条件が付されていました。

この状況を受けて、1954年（昭和29年）3月には兵庫県加印地方事務所が管内を6つのブロックに分けた新たな合併案を提示しました。しかし、この案において別所村はどのブロックにも含まれませんでした。その理由としては、別所村が当時から姫路市と強い結びつきを持っていたこと、そして飾磨地方事務所との間で姫路市への合併について協議が続けられていたことが挙げられています。

村全体としては、姫路市への編入合併が最も現実的で望ましいという意見が大勢を占めていました。しかし、村内の一部地域、特に小林地区と北宿地区では、隣接する阿弥陀村と連携し、高砂市との合併を主張する動きも見られました。これらの地区からは、非公式ながら高砂市側の意向を打診する試みも行われたとされます。

こうした状況の中、同時期に合併問題を抱えていた米田町では協議が難航し、結果として町域が分かれて別々の自治体と合併するという事態が発生しました。この経過を間近で見た別所村の当局は、同様の混乱や村民間の対立を避けたいと考えました。そのため、村民一人ひとりの意向を丁寧に把握し、合意形成に向けた説得に時間をかけるという慎重な姿勢を取りました。このような努力の結果、最終的には村全体の意思として姫路市への合併が選択され、1957年（昭和32年）3月の村議会で、姫路市との合併案が無事可決される運びとなりました。そして同年10月1日をもって別所村は正式に廃止され、姫路市の一部となったのです。

交通

別所村が存在した当時、村域を日本国有鉄道（現在のJR西日本）の山陽本線が通過していました。しかし、残念ながら村内に旅客駅は設置されていませんでした。現在では、旧村域内にひめじ別所駅が開業しており、地域住民の利用拠点となっています。また、現在、旧村域の上空を山陽新幹線が通過していますが、別所村廃止当時はまだ新幹線は開業していませんでした。

道路については、別所村が存在した時代には、現在のような高速道路網は整備されていませんでした。現代では、旧村域内に播但連絡道路が通っており、姫路ジャンクションや大塩別所ランプといった交通の要衝が設けられています。

関連項目

* 兵庫県の廃止市町村一覧

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