別技篤彦

別技篤彦：日本の地理学に貢献した生涯

別技篤彦（1908年12月7日-1997年4月17日）は、20世紀日本の地理学を代表する学者の一人です。陸軍少将の父を持つ彼は、東京に生まれ、東京府立第五中学校（現在の東京都立小石川高等学校）を経て、静岡高等学校、京都帝国大学文学部史学科と進学しました。

学業を終えた別技は、大阪商科大学予科教授として教壇に立ちます。第二次世界大戦中は、ジャワ派遣軍に所属し、南方文化研究室長として地理調査に従事しました。戦後、日本に帰国した彼は、大阪商科大学を退職し、福井大学教授に就任。その後、神戸商科大学教授を兼任し、1954年には立教大学教授となりました。1974年に立教大学を定年退職するまで、多くの学生を指導し、地理学研究を牽引しました。

彼の専門は東南アジアの地理で、特に居住と開発の歴史に関する研究は高く評価されています。1962年には「東南アジア諸島の居住と開発史」という論文で京都大学より文学博士号を授与されました。その業績は、地理学界における彼の地位を確固たるものとしました。1985年には日本地理学会名誉会員に選ばれ、その功績は広く認められました。

別技篤彦は、教育者としてだけでなく、研究者としても多大な貢献をしました。多くの共著、翻訳書を発表し、地理学の普及に努めました。代表的な共著書として、『太平洋を繞る国々』（小野鉄二共著）、『地理教育論』（石橋五郎共著）、『車窓のながめ』（藤野義明共著）などが挙げられます。また、スタンプの『生と死の地理学』やヒルヤーの「世界をまわろう」といった海外の地理学関連書籍の翻訳にも携わっています。これらの著作は、当時の地理学研究や教育に大きな影響を与えました。

別技篤彦の研究は、東南アジア地域に焦点を当てながら、地理学の様々な分野に及びました。彼の研究は、単なる学問的な探求にとどまらず、地域社会の発展や国際的な理解促進にも貢献しました。緻密な調査に基づいた分析力、そして分かりやすい説明で知られ、多くの研究者や学生から敬愛されました。彼の没後も、彼の残した著作や研究は、地理学の進歩に貢献し続けています。

彼の生涯は、地理学者としてだけでなく、教育者、研究者として、そして国際的な視野を持つ学者としての多面的な側面を示しています。別技篤彦の功績は、日本の地理学史において重要な位置を占めており、後世の研究者たちに大きな影響を与え続けています。彼の研究姿勢と教育への情熱は、未来の地理学者たちの模範となるでしょう。

参考文献

別技篤彦教授著作目録 (地理学特集号) 史苑（立教大学）、1974
『人事興信録』1995年
『人物物故大年表』
浅井辰郎「別技篤彦名誉会員のご逝去を悼む」『地理学評論 Ser.A』第70巻第9号、1997年
* 立教大学史学会「別技篤彦先生追悼〔略歴・著作目録(抄)〕」『史苑』第58巻第1号、1997年

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