刺激増幅受容性

刺激増幅受容性（Overexcitability、OE）：鋭敏な感覚と才能の源泉

カズィミェシュ・ドブロウスキーが提唱した「刺激増幅受容性 (Overexcitability、OE)」は、個人が刺激に対して通常の人よりも強く、鋭敏に反応する特性を指します。これは、ポーランド語の「nadpobudliwosc」を翻訳したもので、積極的分離理論（TPD）における重要な概念です。ドブロウスキーは、OEを「超興奮性」「興奮性の増加」など複数の用語で表現しており、神経系の感度向上による生理的な現象として捉えています。OEを持つ人は、刺激に対して強い反応を示し、その反応を持続させる傾向があります。

OEの5つの形態

OEは、大きく分けて5つの形態に分類されます。それぞれ、精神性、感性、知性、想像性、感情性のOEです。

1. 精神性OE: 運動能力や活発さ、エネルギーの充溢、行動への衝動などが特徴です。活発でエネルギッシュ、運動を愛し、常に活動的である傾向があります。

2. 感性OE: 五感（視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚）が非常に鋭敏で、喜びや苦痛を強く感じます。美しい音楽や芸術に深く感動する一方で、不快な刺激には強い嫌悪感を抱く可能性があります。

3. 知性OE: 知的好奇心が非常に強く、知識の探求、分析、分類に強い意欲を示します。知的に優れた才能を持ち、活発な思考を好みます。読書や観察を好み、純粋な思考に没頭することも多いです。

4. 想像性OE: 豊かな想像力と創造性を持ち、イメージ、発想、空想、比喩表現などを巧みに用います。鮮やかな夢やビジョンを見ることが多く、現実と空想の区別がつきにくい場合もあります。

5. 感情性OE: 感情の強度が高く、複雑で深い感情を経験します。他者の感情に共感しやすく、強い感情表現を示します。深い人間関係を築く一方で、感情的な揺らぎや不安定さも併せ持つ場合があります。

ドブロウスキーは、OEを持つ人は現実をより深く、多角的に捉えていると指摘しています。

OEと才能、ギフテッド

OEは、高度に才能のある人（ギフテッド）に多く見られる特性として注目されています。積極的分離理論では、OEは才能や創造性の潜在能力を示すマーカーの一つと捉えられています。ギフテッドは、積極的分離と人格成長のプロセスを非同期的に示す傾向があるとドブロウスキーは述べています。

Sal Mendaglio、Susan Daniels、Michael M. Piechowskiといった研究者によって、OEはギフテッド教育の分野でも広く知られるようになりました。OEの特徴を理解することで、ギフテッドの特性をより適切に把握し、支援することが期待されます。

参考文献

Falk, R.F., Lind, S., Miller, N.B., Piechowski, M.M., & Silverman, L.K. (1999). The overexcitability questionnaire –two (OEQ-II): Manual, scoring system, and questionnaire. Denver, CO: Institute for the Study of Advanced Development.
Falk, R.F., Piechowski, M.M., & Lind, S. (1994). Criteria for rating levels of intensity of overexcitabilities. Unpublished manuscript, University of Akron, Ohio.
https://positivedisintegration.com/Piechowski1999.pdf
Dabrowski's Overexcitabilities Profile among Gifted Students Aliza Alias1, Saemah Rahman, Rosadah Abd Majid1 & Siti Fatimah Mohd Yassin2

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