刻刻

漫画『刻刻』の概要とあらすじ

『刻刻』（こっこく）は堀尾省太が描いた日本の漫画で、2008年から2014年まで『増刊モーニング2』（講談社）に不定期に連載されました。物語は、家族が誘拐と戦いながら、時間を止めることができる独特の能力「止界術」を駆使するサスペンスです。作品は全8巻から成り、特に単行本第1巻の帯では著名な水木しげるが高い評価を与え、話題を呼びました。

あらすじ

佑河樹里は、無職の父貴文、ニートの兄翼、隠居の祖父、シングルマザーである妹早苗、そしてその一人息子の真と平凡な生活を送っていました。彼らの貧しい生活は、ある日突然の誘拐事件によって破られます。樹里の甥である真と兄の翼が幼稚園からの帰り道に誘拐され、父親のもとに身代金の要求が届きます。与えられた期限はわずか30分。樹里は、やむを得ず兄弟を救うために、もしもの時には命を懸ける覚悟で行動に移ろうとします。

しかし、その時祖父が秘伝の「止界術」を用いて時間を止める手段を取ります。この術によって、彼らの周りの世界は静止し、樹里たちはその中で兄弟を助けに行くことが可能になります。しかし、止界中で出会ったのは、彼らだけではありませんでした。「真純実愛会」と呼ばれる組織が現れ、彼らもまた止界術の源である「止界術の石」を狙っていたのです。

登場人物

佑河樹里（ゆかわ じゅり）
本作の主人公で28歳。就職活動中であり、誘拐事件を通じて家族を救うために立ち上がる姿が描かれています。彼女は特別な能力として「霊回忍を追い出す」力を持っており、幾度となく自らの命を危険に晒しながら行動します。

佑河貴文（ゆかわ たかふみ）
樹里の父で、無職の50代。家族の中において抱える悩みや、父親としての力のなさを感じながらも、家族を守るために力を振り絞ります。

佑河翼（ゆかわ つばさ）
樹里の引きこもり気味の兄で、誘拐事件を経て精神的成長を遂げていくキャラクターです。

止界術
物語の核となる術で、時間を停止させ、止まった世界の中で自由に行動できる力をもたらします。この術は家族に代々伝わるもので、その力を巡るドラマが展開されます。

組織と対立

物語を彩る真純実愛会は、誘拐の裏に潜む宗教団体であり、佑河家から止界術を奪うために彼らの生活を脅かします。この組織の教祖である佐河順治は冷徹な性格で、目的のためには手段を選ばない人物です。樹里たちとの対立が物語の緊迫感を生み出します。

終わりに

『刻刻』は、サスペンスとファンタジーが融合した作品で、時間を止めるという独特の要素を通じて家族の絆が試される物語です。樹里と家族がどのように逆境を乗り越え、真を救い出すのかが、本作の大きな魅力です。アニメ化もされたこの作品は、特に家族愛と冒険が交錯する展開により、読者を引き込みます。

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