前哨狙撃兵

前哨狙撃兵について

前哨狙撃兵（Scout Sniper）は、アメリカ海兵隊における特異な役割を持つ兵科で、狙撃任務に加え偵察や観測といった幅広い任務を担っています。彼らは、通常の狙撃兵とは異なる特別な訓練を受け、知識と技術を習得しています。

概要

前哨狙撃兵は、高度な戦闘能力を持つ上級歩兵として位置づけられ、STA（観測及び目標要求小隊）やMEU（海兵隊遠征隊）、フォース・リーコンといった部隊に配属されています。狙撃兵としての主な任務は敵の目標を狙撃することですが、前哨狙撃兵はそれに加えて隠密行動を駆使しながら目標に接近します。彼らは敵を観察し、情報を収集し、部隊に対して指示を出すことが求められます。

このような多様な任務を担当するため、前哨狙撃兵には高い隠密行動能力と、状況を正確に判断するための高い観察力が要求されます。また、前哨狙撃兵は砲兵の着弾観測員としての役割も担うことから、砲術についても十分に理解している必要があります。

一般の狙撃兵との間には、役割に対する意識のズレがあるとの指摘もあります。一般狙撃兵にとって、前哨狙撃兵は狙撃本来の役割とはかけ離れた存在として「邪道」とみなされる一方、前哨狙撃兵は一般狙撃兵を「腰抜け」と捉えることもあるようです。

訓練課程

前哨狙撃兵の訓練は、専用の「前哨狙撃兵学校」で行われており、1967年に設立された学校は当初キャンプ・ペンドルトンに設置されていました。しかし、現在はハワイ海兵隊基地群に移転し、さらにネバダ州にも訓練コースが設けられています。

訓練期間は基本的に約10週間で、この間に狙撃、観測、偵察、隠密行動などの高度な技術を習得します。2002年には、訓練プログラムの改定がなされ、従来の肉体的な耐久力重視の訓練から、精神的なストレスに耐える力も重視されるようになりました。さらに、健康問題や任務の危険性を考慮し、喫煙は厳禁とされており、喫煙者は訓練を受けることができません。

備考

2012年には、前哨狙撃兵が使用していた旗が物議を醸しました。この旗は「SS」と表記されていたため、ナチス親衛隊のシンボルとの類似性が指摘され、海兵隊は謝罪し、旗の使用禁止を決定しました。これは、組織としての敏感さと責任を示す一例でした。

まとめ

前哨狙撃兵は、アメリカ海兵隊の中で独特な役割を果たしています。彼らはただの狙撃兵ではなく、探知、観測、情報伝達を担う重要な存在であり、そのためには多岐にわたる訓練と高度な技能が求められます。

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