前園俊彦

前園俊彦（まえぞの としひこ）

1935年5月14日 - 2019年10月17日、日本のオーディオエンジニアであり、実業家。

生涯

演劇に情熱を燃やしていた前園氏は、劇団「青俳」に所属した後、1957年に山水電気株式会社（以下、山水電気）に入社。その高い能力を発揮し、宣伝部長、商品企画部長、新宿のオーディオセンター所長を歴任しました。山水電気では、国産初のブラックフェイスアンプの開発や、組子を採用したスピーカーの開発にも携わり、創業者である菊池幸作氏の右腕として、山水電気を世界的なオーディオブランドへと押し上げる原動力となりました。

山水電気に30年間勤務した後、1987年にはオルトフォンジャパン株式会社の社長に就任。「SPU」をはじめとするカートリッジの開発や、世界初の超高純度7N銅を採用したカートリッジ、オーディオケーブルの開発に取り組み、数々のオーディオ史に残る名機を世に送り出しました。

オルトフォンジャパン株式会社に20年間勤務し、一度は業界から退いたものの、株式会社トライオードからの熱烈な要望に応え、2007年には自身のオーディオケーブルブランドである株式会社前園サウンドラボ「Zonotone」を立ち上げました。「素材」、「構造」、そして「耳による音楽性」に徹底的にこだわった同社の製品は、国内外で非常に高い評価を得て、オーディオケーブルブランドの名門としての地位を確立しました。

また、2006年には、アナログレコードへの深い愛情と、「Zonotone」製品の研究開発を行う拠点として「アナログ庵」を設立。オーディオ、特にアナログオーディオへの並々ならぬ情熱を持ち、自宅と「アナログ庵」にはJBL「4350」を中心とした往年の銘機を使用したマルチシステムを構築。約2万5000枚にも及ぶ膨大なLPコレクションを所蔵していました。

オーディオ以外にも、カメラや写真、ゴルフ、カレー作りなど、多岐にわたる趣味にも情熱を注いでいました。

2019年10月17日、84歳でその生涯を閉じました。

前園氏のモットーは「趣味は命がけで、仕事は遊び心で」であり、その言葉通り、情熱と遊び心を持ってオーディオ業界に貢献した人物でした。

参考

“"耳"--「オルトフォン・ジャパン」社長前園俊彦氏”. 2019年10月30日閲覧。
“前園俊彦氏 - Zonotone”. 2019年10月30日閲覧。

外部リンク

“Zonotone（ゾノトーン）の由来”. 2019年10月30日閲覧。
前園俊彦物語

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