前橋聖マッテア教会英語夜学校

前橋聖マッテア教会英語夜学校（まえばしせいまってあきょうかいえいごやがっこう）は、明治時代に群馬県前橋の地で開設された、日本聖公会に連なる歴史を持つ学校です。後の近代詩人、山村暮鳥がここで学びを深めたことでも知られています。

この学校の設立には、当時、群馬県立前橋中学校（旧制）で英語教師を務めていた米国聖公会から派遣された宣教師、H. S. ジェフリー師の働きが深く関わっています。ジェフリー師は、英語だけでなく聖書の教えにも触れたいと願う生徒たちがいることを知り、彼らのために聖書を学ぶ集まりを始めることを構想しました。

明治22年（1889年）2月24日の「聖マッテヤの日」に、ジェフリー師は前橋市内で自身の自宅を開放し、家庭での集会を開始しました。これが、前橋における聖公会の伝道活動の出発点となります。多くの学生が聖書の学びに関心を示したことから、ジェフリー師は定期的に礼拝を行い、人々に福音を伝えることを決心し、自宅での集会を継続していきました。

同年10月には、日本人伝道師として初めて大生閑太郎氏が前橋の宣教地に赴任しました。また、当時の立教学校（現在の立教大学）で教授を務めていた根岸由太郎氏も、通訳者としてジェフリー師たちの伝道活動を熱心に支えました。

こうした着実な歩みを経て、その2年後、明治24年（1891年）には「前橋聖公堂」が設立されます。これは、現在の前橋聖マッテア教会の前身となる組織でした。

ジェフリー師が前橋中学校を離れた後も、当地での聖公会の活動は途絶えることなく引き継がれました。J. L. パットン師が新たに派遣され、前橋における宣教活動はさらに定着していきます。その後、宣教師はJ. アンブラー師を経て、アイザック・ドーマン師へと引き継がれていきました。

明治30年（1897年）、宣教師のアイザック・ドーマン師は前橋市内に英語を学ぶための夜間学校を開設します。そして、明治34年（1901年）1月には、前橋聖公堂（現在の前橋聖マッテア教会）の建物の中に改めて英語夜学校が開設されることとなります。この時、若き日の詩人として後に名を馳せる山村暮鳥が、この新設された夜学校に第一期生として入学し、英語やキリスト教の教えに触れたのです。

翌年の明治35年（1902年）、前橋聖公堂はその名称を現在の「前橋聖マッテア教会」へと改称しました。前橋聖マッテア教会英語夜学校は、このように米国聖公会の宣教師たちの熱意と、それに協力した日本人たちの働きによって設立され、地域の教育と宣教の重要な拠点として機能しました。特に、山村暮鳥という著名な詩人が学んだ場所として、その存在は今日でも語り継がれています。

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