前田博

前田 博

概要

前田 博（まえだ ひろし、1954年5月10日 - ）氏は、日本の弁護士であり、現在、森・濱田松本法律事務所のシニア・カウンセルを務めています。金融法務、とりわけプロジェクト・ファイナンスやPFI（Private Finance Initiative：民間資金等活用事業）、PPP（Public-Private Partnership：官民連携）の分野において、国内有数の専門家として広く知られています。その卓越した知見と豊富な経験に基づき、長年にわたり政府機関や公的機関の様々な委員会の委員を務め、関連法制度の整備や事業推進に多大な貢献をしています。

専門分野と活動

前田氏の専門性は、金融法務全般に及びますが、特に大規模なインフラ整備や公共サービスに関わるプロジェクト・ファイナンスやPFIの分野で高い評価を得ています。これらの分野における先駆者的な存在として、公的な立場からの提言や実務への関与を通じて、日本のPFI/PPPの導入・発展に深く貢献してきました。1990年代後半以降、内閣府のPFI推進委員会をはじめ、経済産業省、文部科学省、国土交通省など、多様な省庁の審議会や研究会、委員会の委員を歴任しています。また、教育分野においても、上智大学法科大学院で長年にわたり非常勤講師を務め、後進の指導にあたっています。

2009年頃からは、国内に留まらず、海外におけるインフラPPP事業にも積極的に注力しており、国際的な視点からのアドバイスやサポートを提供しています。日豪経済委員会インフラ小委員会の副委員長を務めた経験もあり、国際的な官民連携事業においても重要な役割を果たしています。

略歴

前田氏は、1954年に生まれ、滋賀県立彦根東高等学校を経て、1979年に東京大学法学部を卒業しました。司法修習第33期を修了後、1981年に弁護士登録（第二東京弁護士会）を行い、小松友常法律事務所に入所しました。

キャリア初期には、富田金澤法律事務所での勤務を経て、1986年には米国コーネル大学ロースクールを修了し、LL.M.（法学修士）を取得しました。その後、ロンドンのBank of Tokyo International Limited（当時の東京銀行の現地法人）やLinklaters & Paines、ニューヨークのSkadden, Arps, Slate, Meagher & Flomといった海外の金融機関や大手法律事務所での勤務経験を積みました。これらの経験は、後の国際的な金融法務やPPP事業への取り組みの基盤となっています。

帰国後、1988年には三井拓秀氏らとともに三井安田法律事務所を設立し、パートナーに就任しました。その後、2004年には西村ときわ法律事務所（現 西村あさひ法律事務所）に移籍し、同事務所でもパートナーとして活躍しました。2019年には渥美坂井法律事務所・外国法共同事業に移籍しパートナーを務めた後、2022年1月より森・濱田松本法律事務所のシニア・カウンセルに就任し、現在に至ります。

政府・公的機関における活動

前田氏のキャリアにおいて特筆すべきは、政府・公的機関における委員としての活動の幅広さと長期間にわたる貢献です。1990年代半ばから、通商産業省（現経済産業省）、総理府（現内閣府）、文部科学省、国土交通省、金融庁など、中央省庁の重要な会議体に多数参加しました。

特にPFI関連では、総理府のPFI推進委員会委員として制度の立ち上げに関与したのをはじめ、国土交通省の「日本航空の経営改善のための有識者会議」、内閣官房の「準天頂衛星システムPFI検討有識者委員会」および「事業推進委員会」など、国の重要プロジェクトにおける法的・実務的な側面からの検討に深く関わりました。

また、文部科学省の中央教育審議会専門委員としてスポーツ分野に関わったほか、独立行政法人の中小企業基盤整備機構、日本スポーツ振興センター、国際臨海開発研究センターなどでも委員や理事、監事などを務め、事業評価や推進、組織運営に関与しています。金融分野では、金融機能強化審査会委員も務めました。

公共事業への関与

弁護士として、数多くの大規模プロジェクトにおける法的助言を行ってきましたが、特に公共側の立場からの審査委員として、全国各地の多様なPFI事業に関与してきた経験は豊富です。東京都、さいたま市、近江八幡市、高知市などの自治体のPFI事業に加え、国立大学法人や独立行政法人、国の機関が実施するプロジェクト（例: 東京国際空港、筑波大学附属病院、国営公園、新国立競技場、クルーズ拠点、スタジアム、英語学習施設など）において、選定や審査の重要な役割を担いました。これらの経験は、PFI/PPPの実務における深い理解と、公共の利益に資する事業推進への貢献を示しています。

現在

現在は、森・濱田松本法律事務所のシニア・カウンセルとして、長年の経験と知見を活かし、複雑な金融法務や国内外のPFI/PPP案件において重要な役割を担っています。並行して、政府や公的機関の委員、上智大学法科大学院非常勤講師としての活動も継続しており、日本の法曹界および官民連携分野の発展に引き続き貢献しています。

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