前縁

前縁（ぜんえん）

前縁とは、航空機の翼における最前端の部分を指し、空気と最初に接触する場所です。この部分の形状や設計は、航空機の性能や飛行特性に大きな影響を与えます。以下では、前縁の特徴、機能、及び構成要素について詳しく説明します。

特徴

スイープ

前縁は直線状、湾曲状、ねじれ状など多様な形状を持つことがあり、平面図で観察されるとさまざまなスタイルが存在します。直線の前縁はスイープがあるものとないものがあり、湾曲やキンクがある場合は、スイープが含まれています。また、後退翼の場合、後退角度は翼の25％弦線から測定されるため、見かけ上異なる角度になることがありますが、デルタ翼のように特定の設計では前縁後退が主要な要素となります。

半径とよどみ点

前縁が丸みを帯びていると、異なる入射角に対して気流がよりスムーズに流れることが可能になります。多くの亜音速翼はこの特性を持ち、丸みの程度はプロファイル半径が影響します。気流が部分的に分かれ、翼の上下に流れることから、前縁プロファイルには一定のよどみ点が存在し、この点は流れが分かれ流れない状態でもあります。入射角が変化すれば、よどみ点も若干上下に移動します。超音速飛行用に設計された翼型では、抗力を減らすために前縁が鋭角的であることが求められ、亜音速と超音速の両方で効果を出すために前縁の丸みが調整されることがよくあります。

ドループ

翼が高い迎え角をとると、上部の気流が不安定になり、翼が失速する危険があります。しかし、前縁を下げるドループ機構を用いると、気流 スムーズさが増し、より高い迎え角でも揚力が増加します。外側翼端で特に失速が顕著になるため、外側部分のドループが適用されることが一般的です。ただし、通常の飛行時に過度の抗力を引き起こすリスクもあるため、可変ドループフラップが利用されることがあるほか、クルーガーフラップも有効です。

熱効果

高速航空機においては、翼前方の空気の圧縮に伴う加熱が、前縁の著しい熱損傷を引き起こす可能性があります。過去の例として、2003年のスペースシャトル・コロンビアの事故は、加熱によって引き起こされたものであることが挙げられます。

前縁のデバイス

航空機の翼の前縁には、さまざまな目的に応じたデバイスが取り付けられることがあります。これには以下が含まれます：

• - カフス
• - 防氷ブーツ
• - ドループフラップ
• - クルーガーフラップ
• - 前縁のルートエクステンション（LERX）
• - スラット
• - スロット
• - ストールストリップ
• - ボルチロンボルテックスジェネレーター

特に、前縁は小型帆船とも関連があり、船の帆の最前端も同様の空気力学的特性を持っているため、前に向かう推進力を生成します。これによって帆船の抗力の90％は帆の縁からの渦によるものであり、流れを妨げない設計が求められます。

関連項目

• - 翼
• - 翼型
• - 後縁（Trailing edge） - 翼の後端部分で、動翼やフラップが取り付けられます。

このように、前縁は航空機や帆船のデザインにおいて不可欠な要素であり、効果的な飛行性能を追求する上で重要な役割を果たしています。

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