剗の海

剗の海と古剗の海：富士山麓の古代湖

剗の海（せのうみ）

剗の海は、9世紀半ばまで富士山の北麓に広がっていた湖です。この湖は、現在の富士五湖である西湖や精進湖よりもはるかに広大な面積を有していました。

概要

剗の海は、その広大さから「海」という字が用いられていましたが、実際には湖でした。しかし、貞観6年（864年）に発生した富士山の貞観大噴火によって、大量の溶岩流が湖に流れ込み、大部分が埋没してしまいました。この噴火の様子は、『日本三代実録』にも記録されており、溶岩流が湖に流れ込み、多くの民家が被害を受けたことが記されています。現在、富士五湖として知られる西湖と精進湖は、この剗の海の一部が噴火によって埋まらずに残ったものです。

噴火の影響

貞観大噴火は、剗の海の地形を大きく変えただけでなく、周辺の環境にも大きな影響を与えました。噴火によって流れ出した溶岩は、現在の青木ヶ原樹海を形成する基盤となりました。また、噴火の際には大きな地震などの天変地異も発生したと記録されています。

古剗の海（こせのうみ）

さらに古い時代、紀元前3000年以前には、現在の本栖[[湖]]と剗の海が繋がった、より巨大な湖が存在していました。この湖は、現代の研究者によって「古剗の海」と名付けられています。縄文時代にはどのような名前で呼ばれていたかは不明です。

古剗の海の存在

古剗の海は、現在の剗の海よりもはるかに広大な湖であったと考えられています。この湖の存在は、富士山周辺の地形や地質を研究する上で重要な手がかりとなっています。

呼称について

「剗海」という名称は、平安時代の史書『日本三代実録』に初めて登場します。当時、「湖」は「水海」と表記されていたため、本栖[[湖]]は「本栖海」、河口[[湖]]は「河口海」と記されていました。したがって、剗の海も同じように「海」と表現されたと考えられます。現代の感覚では「剗湖」あるいは「剗の湖」と呼ぶのが適切かもしれません。「剗」の字は、「削る」「平らにする」といった意味がありますが、9世紀には「関所」の意味でも用いられていました。

剗の字義

「剗」という漢字は、「削る」「平らにする」という意味を持ちますが、この湖の地形や形状がこれらの意味とどのように関連しているかは、まだ明確にはわかっていません。また、9世紀には「関所」の意味でも用いられていたという記録もあり、この漢字が持つ複数の意味が歴史的な背景を複雑にしていると考えられます。

まとめ

剗の海と古剗の海は、富士山の火山活動と密接に関わった湖であり、その変遷は富士山周辺の自然環境の歴史を物語っています。これらの湖は、過去の大噴火によってその姿を変え、現在の富士五湖や青木ヶ原樹海といった景観を形成する上で重要な役割を果たしました。これらの湖の存在は、過去の自然現象が現代の環境にどのように影響を与えるかを理解する上で重要な示唆を与えています。

脚注

注釈
出典

関連項目

富士山の噴火史
古富士泥流
青木ヶ原

外部リンク

災害教訓の継承に関する専門調査会
* NPO法人 富士山自然学校

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