剣持哲志

剣持 哲志

概要

剣持 哲志（けんもち さとし、1955年 - ）は、日本の陸上競技界において、特に昭和の時代に名を馳せたスプリンター兼ハードラーです。群馬県に生まれた彼は、主に110メートルハードルを専門とし、この種目の日本記録保持者として輝かしい足跡を残しました。

生涯と業績

群馬県立中之条高等学校に進学した剣持は、陸上競技における自身の潜在能力を開花させることになります。特に、名伯楽と称された今井雅夫監督の指導を受けたことが、彼の競技者としての才能を大きく引き出す転機となりました。高校在学中の1973年、彼は関東高等学校陸上競技大会において、110メートルジュニアハードルと走り幅跳びという異色の二冠を達成し、一躍脚光を浴びます。ハードルでは14秒1、走り幅跳びでは7メートル21センチという、当時の高校生としては驚異的な記録を叩き出し、その卓越した身体能力と技術が大きな注目を集めました。

同年夏に開催された三重インターハイでは、周囲からの大きな期待というプレッシャーの中で、110メートルジュニアハードルで見事優勝を果たしました。記録は14秒7でしたが、最高峰の舞台で結果を出す勝負強さを示しました。

高校卒業後、剣持は陸上競技の強豪校として知られる法政大学に進学します。大学でも彼はすぐにチームの主力選手となり、数々の大会で活躍を見せます。そして、彼のキャリアの頂点とも言える瞬間が訪れます。

1977年10月16日、日本学生陸上競技対校選手権大会において、剣持は男子110メートルハードル決勝に出場し、14秒25という圧倒的な記録を樹立しました。これは当時の日本新記録であり、日本のハードル界に新たな歴史を刻む快挙でした。この記録は、その後の日本のハードル選手の目標となり、長きにわたって破られることのない偉大な記録として語り継がれました。

法政大学は、剣持の時代から多くの著名なハードル選手を輩出しており、彼もまたその礎を築いた一人と言えるでしょう。彼の下には、後に日本を代表するハードラーとなる苅部俊二氏、斎藤嘉彦氏、為末大氏、内藤真人氏といった面々が続き、剣持が切り拓いた道は、法政大学のハードル王国としての地位を確固たるものにする一助となりました。

剣持哲志は、高校・大学を通じて常に日本の陸上競技界の第一線で活躍し、特に110メートルハードルにおいて、その力強い走りと正確なハードリングで多くの人々を魅了しました。彼が樹立した日本記録は、当時の日本のハードル技術のレベルを一段引き上げる画期的な記録であり、後進の選手たちに大きな影響を与えました。昭和を代表するハードラーとして、彼の功績は日本の陸上競技史に深く刻まれています。

まとめ

剣持哲志氏は、昭和期の日本の陸上競技界、特に110メートルハードルの分野で顕著な成績を残した選手です。高校時代からの華々しい活躍を経て、法政大学で日本記録を樹立した彼の功績は、日本のハードル競技の発展に大きく貢献しました。彼の存在は、後続の世代の選手たちにも大きな影響を与え続けています。

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