副島輝人

副島輝人：日本のジャズ評論における先駆者

副島輝人（そえじま てると）は、1931年1月14日に東京都世田谷区経堂で生まれ、2014年7月12日に胃癌で亡くなった日本の著名なジャズ評論家です。彼の活動は単なる評論に留まらず、プロデュースやオーガナイズをも含めた広範なものでした。

若き日の志と活動

1950年に旧制成城高等学校を卒業後、福田恆存の文芸評論に触発され批評家を志しました。特定のジャンルに偏らず、「芸術としての批評」を追求する姿勢は、彼の活動全体を特徴づけています。1951年には映画批評の同人誌『シネ・エッセイ』を発行し、佐藤重臣や山際永三らと活動を共にしました。1958年からは「映画と批評の会」に参加し、大島渚、吉田喜重、松本俊夫といった映画界の才能たちと交流を深め、同会発行の『映画批評』誌に執筆することで、本格的な映画批評のキャリアをスタートさせました。

ジャズへの情熱と貢献

1966年、副島はジャズの批評同人誌『OUR JAZZ』を創刊し、佐藤秀樹、杉田誠一、岡崎正通らと活動を展開。「即興」と「前衛」をテーマにした文章を多く発表しました。1968年からは『ジャズ批評』誌にフリー・ジャズに関する記事を寄稿し、1969年には高柳昌行、富樫雅彦、佐藤允彦らと、日本初のフリージャズ専門のライブスペース「ニュージャズ・ホール」を開設。阿部薫、藤川義明、翠川敬基、梅津和時、坂田明など、多くのアヴァンギャルドなミュージシャンたちがこの場所から羽ばたき、日本の前衛ジャズ運動の重要な拠点となりました。

国際的な活動と評価

1977年から2006年までの間、副島は世界最大級の前衛ジャズフェスティバルであるドイツの「メールス・インターナショナル・ニュージャズ・フェスティバル」に毎年参加し、日本の前衛ジャズグループを多数紹介しました。佐藤允彦、梅津和時、大友良英、渋さ知らずオーケストラなど、20以上のグループ、総勢約130名のミュージシャンを海外に送り出し、日本のジャズ文化を世界に広める上で大きな役割を果たしました。

多岐にわたる活動

副島の活動はジャズに留まらず、映画、演劇、美術、舞踏など多岐にわたりました。土方巽の舞踏公演や小川紳介監督の映画製作に協力するなど、ジャンルを超えた芸術活動を支援しました。また、ロシアや韓国の前衛ジャズグループを日本に招聘し、新たな音楽の潮流を紹介するなど、国際的な文化交流にも尽力しました。

著書と功績

副島は『現代ジャズの潮流』、『日本フリージャズ史』、『世界フリージャズ記』などの著書を通じて、ジャズに関する深い知識と洞察を広めました。彼の功績は、日本のジャズ文化の発展に大きく貢献しただけでなく、世界中の音楽愛好家や研究者にとっても貴重な遺産となっています。

副島輝人の遺産

副島輝人は、その生涯を通じて、日本のジャズシーンに多大な影響を与えました。彼の評論、プロデュース、そして国際的な文化交流への貢献は、日本の音楽文化史において特筆されるべきものであり、今後も長く語り継がれることでしょう。

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