高柳昌行

高柳昌行：フリー・ジャズを極めた孤高のギタリスト

高柳昌行（たかやなぎ まさゆき、1932年12月22日 - 1991年6月23日）は、日本のフリー・ジャズ・ギタリストとして知られています。東京都出身の高柳は、フリー・ジャズに深く影響を受け、実験的かつ前衛的な即興演奏を追求し、独自の音楽世界を築き上げました。

プロとしての活動開始と「銀巴里」時代

19歳でプロとしてのキャリアをスタートさせた高柳は、1950年代末期から銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」で活動を開始。「新世紀音楽研究所」という音楽家集団の中心人物として、その才能を発揮しました。

逮捕、そして音楽への情熱

しかし、1960年代には麻薬取締法違反で逮捕されるという苦難も経験します。2度の執行猶予を得ますが、最終的には実刑判決を受け、1年間の刑期に服しました。波乱万丈な人生の中でも、音楽への情熱が衰えることはありませんでした。

ニュー・ディレクション結成と阿部薫との共演

1969年、吉沢元治（ベース）、豊住芳三郎（ドラムス）とのトリオ、ニュー・ディレクション（NEW DIRECTION）を結成し、初のリーダー作『インディペンデンス』を発表。1970年には、コンサート「解体的交感」で阿部薫と共演し、その名を轟かせました。この頃から、彼は「Jojo」というニックネームでも知られるようになります。

海外での活動と晩年

1980年には、ドイツのメールスで行われたジャズ・フェスティバルに出演し、国際的な評価も高めました。晩年は、「高柳昌行アクション・ダイレクト」というソロ・プロジェクトで活動し、複数のギターと様々な機材を駆使した独演を披露。1986年にはジョン・ゾーンとの共演も実現しました。その後も精力的にライブ活動を行いましたが、1991年6月23日に肝不全のため58歳でこの世を去りました。

音楽へのストイックな姿勢と後進の育成

高柳は、音楽に関する独自の価値観を持っており、他のミュージシャンやライブハウス側との間で衝突が起こることもありました。しかし、その一方で、ギターレッスンの私塾を営み、渡辺香津美、廣木光一、安藤正容、山本恭司、飯島晃、今井和雄など、数多くのギタリストを育成しました。大友良英も高柳の私塾に数年間在籍していましたが、後に決別しています。

評価と影響

高柳の音楽は、大友良英やジム・オルークなど、多くのミュージシャンに影響を与えました。俳優の殿山泰司も、高柳の熱烈なファンとして知られていました。高柳の音楽は、今もなお多くの人々に聴き継がれ、その精神は生き続けています。

ディスコグラフィ（一部）

『銀巴里セッション』 (1972年)
『インディペンデンス』 (1969年)
『解体的交感：ニュー・ディレクション』 (1970年)
『ロンリー・ウーマン』 (1982年)
『パルセーション』 (1983年)
EXPERIMENTAL PERFORMANCE WITH JOHN ZONE (1986年)

著書

* 汎音楽論集（月曜社、2006年）

高柳昌行は、その短い生涯の中で、フリー・ジャズという音楽の可能性を追求し続けました。その音楽は、聴く者に強烈な印象を与え、新たな音楽の扉を開くきっかけとなるでしょう。

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