副総統官房

副総統官房

副総統官房（ふくそうとうかんぼう）は、ナチス・ドイツにおける国民社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）の重要な機関です。1933年7月に発足し、1933年4月21日にアドルフ・ヒトラーによってルドルフ・ヘスが副総統として任命された際に生まれました。ヘスは総統に代わって党のさまざまな問題を決定する権限を持っていました。彼はその後、内閣閣議に参加する権利を得て、1933年12月には無任所大臣として帝国政府から正式に承認されることになります。

しかし、党内では大管区指導者や全国指導者との間に権限を巡る対立が生じました。これを背景に、副総統官房が設立され、ヘスはその長としてマルティン・ボルマンを秘書兼幕僚長に任命しました。新たに設立された副総統官房は、党の執行機関としての役割を果たし、党と国家の政治的問題についてあらゆる介入を行いました。さらに、党の権限を拡大することに注力し、報告書を通じて公務員の任命権を行使していました。

具体的には、1934年7月に、党の内部組織、教育や人事管理、新党員の勧誘について法的な枠組みを整備しました。副総統官房は特にユダヤ人を対象とした法案や政策においても根強い影響を持ち、レイヒ市民法に関する条例を制定して人種政策の厳格な実施に寄与しました。さらに1935年には、すべての実施規定が施行され、公務員任命における影響力を完全に獲得しました。

続いて1941年、ヘスがイギリスへの単独飛行を試みたことを受けて副総統官房は解散され、新たに党官房（Partei-Kanzlei）が設立されました。ボルマンは新たな官房長に任命され、党官房はナチス・ドイツにおける重要な政策決定機関となります。ボルマンは、ヒトラーと直接的な関わりを築きつつ、国防閣僚会議の構成員としても活動を急増させました。彼の影響力が増すと共に、党官房はヒトラーにより重要な問題の最終的な判断を行う機関として位置づけられるようになりました。

さらに1942年には、ボルマンが立法会議に参加する権限を持つようになり、党の政策課題に対する中央の窓口として機能しました。こうした中、ナチス党の人種政策や教会に対する政策も進行していきました。特に、教会に対しては法律や教育の影響を排除する動きが強まり、ヒトラーの意向に基づく資産没収などが実施されました。

このように、副総統官房はナチス政権下において政権運営や党内の権限強化に果たした役割は、歴史的に見ても極めて重要でした。最終的に1945年10月10日に党官房は連合国によって解散され、ナチスの組織は消滅しました。

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