劇団イナダ組

劇団イナダ組の紹介

劇団イナダ組（げきだんいなだぐみ）は、北海道札幌市豊平区を拠点とする劇団です。設立者であり、演出家の稲田博（イナダ）が中心となり、恋愛などのテーマを扱った芝居を展開。その活動は札幌市内の各ホールだけでなく、地方への公演に広がっています。

劇団の歴史とその歩み

劇団イナダ組の起源は、1988年3月に行われた公演「四十八手悲恋悲話」にまでさかのぼります。この公演は、小さな劇場「メルヘン館」で行われ、観客数80人程度ということもあり、限られたキャパシティの中で運営されました。その後、1991年までの3回の公演はすべて稲田の単独プロデュースによるものです。

1990年には、CREATIVE OFFICE CUEの会長である鈴井貴之と意気投合し、新たに「OOPARTS」という劇団を設立しましたが、脚本に関する意見の食い違いから、1991年に脱退。1992年にはスムーズな劇団運営を目指し、役者を集めて本格的に活動を開始しました。最初の定期公演は、1992年2月28日から3月1日まで行われた「色物図鑑 TAKEDA～ノルウェーの森」であり、その後も多様な作品を上演しました。

1993年には北海学園大学の学生であった森崎博之が助っ人として参加し、以降イナダ組に籍を置く俳優たちの裾野が広がることとなります。1994年には佐藤重幸（現・戸次重幸）が加わり、1995年には大泉洋や音尾琢真らも在籍。こうした流れの中で、劇団のメンバーは次第に増えていきました。

さらなる発展と社会への影響

イナダ組は1997年に観客動員数2000人を達成、1998年には道新ホールでの公演を成功させ、2000年には札幌市教育文化会館の大ホールで第20回公演を行うなど、次第にその活動規模を拡大しました。また、1999年から2002年にかけては北海道放送の深夜バラエティ番組『天然者』に団員が出演するなど、メディアでの存在感も増していきました。

劇団は2002年に10周年を迎え、多数の都市で記念の地方公演を実施。その後も社会問題を扱った作品の上演や、北海道外での公演へも進出するなど、演劇界における影響力を増しました。特に、TEAM NACSのメンバーが脱退した後は、地方公演を精力的に行い、2006年に福岡公演、2008年には東京新宿シアターアップルで開催された劇団フェスでのグランプリ受賞など、全国的な人気を得るに至りました。2011年には20周年を祝した公演では地方劇団としては前例のない動員を記録しました。

現在と未来の展望

2013年から劇団は新たなスタイルに移行し、所属する役者を抱えずに自由なキャスティングを取り入れるようになります。これにより、HTB「水曜どうでしょう」の制作陣や、さまざまなアーティストたちが役者として参加し、新たなコラボレーションを生むなどしています。さらに、教育機関や自治体との連携を通じて、演劇指導や公共イベントにも力を入れ、地域の演劇文化の活性化に貢献しています。

また、2007年には他劇団と協力して「イナダ祭り」を開催するなど、新たな試みにも挑戦しています。劇団イナダ組は、これからも北海道の演劇シーンをリードしていく存在として、その成長が期待されます。

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