劇団青い鳥

劇団青い鳥は、1974年に女性俳優6名によって結成された、女性のみの演劇集団である。オリジナルの舞台作品を創造することを目指し活動を開始した。1975年には「美しい雲のある幕の前」で初めて観客の前で上演を行った。

初期においては、特定の脚本家や演出家を固定せず、劇団員全員が作品の創造過程に参加するという独特のスタイルを採っていた。脚本執筆から演出、舞台作りまで、全てをメンバー共同で手掛けた。また、公演の最後には出演者全員で一斉に礼をする慣習があり、この集団での創作・活動に対する敬意を表し、劇団員全体のペンネームとして「市堂令（いちどう れい）」という名称を用いた。

この、全ての劇団員が等しく創作に関わる手法は「青い鳥方式」と呼ばれ、当時の演劇界においてユニークな試みとして大きな注目を集めた。個々の才能が集まり、議論を重ねながら作品を練り上げていくそのプロセスは、多くの演劇人に影響を与えたとされる。

「市堂令」名義では、その活動が高く評価され、1986年には紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。さらに1992年には東京ジャーナル演劇賞も受賞するなど、演劇界での存在感を確固たるものとした。

しかし、1993年に上演された「最終版 ゆでたまご」を一つの節目として、劇団の創作スタイルに変化が見られるようになった。これ以降も集団での創作は続けつつも、公演によっては特定の個人が脚本や演出を担当するケースが増加した。個々の団員が持つ表現力や演出の方向性をより自由に追求する方向へと活動の幅を広げたのである。

劇団青い鳥は、その歴史の中で多岐にわたる作品を上演してきた。代表的な上演作品としては以下のようなものがある。

「シンデレラ シュトルム ウント ドランク」（1985年）
「いつかみた夏の思い出」（1986年）
「ゆでたまご きみたちの巨きなまっ白な素足」（1987年）
「青い実をたべた つめたい水 おいしい水」（1989年）
芹川藍A・SO・BO PROJECT公演「実験」（1999年） - 韓国居昌国際演劇祭招待
「銀の実時間」（1999年） - 青山演劇フェスティバル参加
「Tokyo Paris London SAKURA」（2002年）
「ポロロッカ」（2003年）
「シンデレラ ファイナル」（2004年）
「もろびとこぞりて」（2006年）
「U.Z.K夕月〜ゆうづき」（2007年）
「天使たちの誘惑〜To The Lonely Planet」（2007年）
「青い実をたべた〜さと子の場合」（2008年）
「ザ還暦」（2009年）
青い鳥スモールワールド「ちょっとうれしい」（2010年）
青い鳥スモールワールドII「ボクと妹のいる風景 東京〜ありがとうママンより」（2011年）

また、劇団の活動や世界観を紹介する書籍も複数刊行されている。

『なかよし読本 劇団青い鳥の世界』（白水社、1986年）
『物語威風堂堂 市堂令戯曲集』（白水社、1987年）
* 『青い鳥のチラチラミテル』（白泉社、1991年）

劇団には、創立メンバーである天光眞弓、芹川藍、葛西佐紀をはじめ、天衣織女、高彩裕子、近内仁子といった俳優陣が現在も在籍している。また、長井八美、渡辺なほみが制作スタッフとして活動を支えている。過去には、創立メンバーである木野花、河合みなと、渡辺満枝のほか、森本恵美などが在籍していた。

劇団の歩みや活動については、久田恵著『トレパンをはいたパスカルたち 劇団青い鳥ものがたり』（透土社、1989年）に詳細が記されている。劇団の最新情報や活動状況は公式サイト、公式ブログ、X（旧Twitter）などで発信されている。

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