劇団鳥獣戯画

劇団鳥獣戯画は、1975年に知念正文が、つかこうへいらと共に活動していた劇団「暫」から独立し、石丸有里子らと共に設立した日本の劇団です。既成概念にとらわれない、新しいエンターテイメントを創造することを目標としています。

劇団の活動の中心は、座長である知念正文と、作家・演出家である知恵理かとうによるオリジナル作品の上演です。これらの作品は、演劇的な要素だけでなく、歌、ジャズダンス、タップダンス、三味線など、多彩な表現を取り入れているのが特徴です。劇団員は、ベテランも新人も分け隔てなく共にレッスンに取り組み、日々、表現力を磨いています。定期公演を年2回行うほか、中学校や高校での芸術鑑賞会公演、劇団の所在地である埼玉県入間市での「ドラマフェスタin入間」への参加など、地域に根ざした活動も積極的に行っています。特に市民ミュージカルの上演は、地域住民との交流を深める上で重要な役割を果たしています。

また、劇団鳥獣戯画は、漫画家・美内すずえの代表作『ガラスの仮面』に登場する劇団『一角獣』のモデルになったことでも知られています。このことからも、劇団のユニークな創造性や活動が、広く注目されていることが窺えます。

劇団の主なメンバーとしては、座長であり、作家、演出家、振付家も務める知念正文（役者として平仮名で「ちねんまさふみ」と表記することもある）、女優の石丸有里子、作家・演出家の知恵理かとう、女優の樋口春香、竹内くみこ、石出知、ユニコなどがいます。かつては、お笑いコンビ『北陽』の虻川美穂子と伊藤さおりも在籍していました。

舞台活動以外にも、劇団員は様々な分野で活躍しています。例えば、笹本祐一の小説『妖精作戦』がNHK-FMでラジオドラマ化された際には、知念正文が「沖田玲郎」、石丸有里子が「鳴海つばさ」を演じました。このラジオドラマには、長谷有洋、田の中勇、塩沢兼人といった豪華な声優陣も出演しています。また、ディズニー・チャイルド・パックという、絵本とドラマCD（またはカセット）がセットになった子ども向け作品にも、劇団員が多数参加しています。特に、「シンデレラ」「不思議の国のアリス」「ダンボ」といった人気作品では、石丸有里子と知念正文が主要な役を演じています。

劇団鳥獣戯画は、1976年の旗揚げ公演「銭っこ馬とユビュ王の冒険」を皮切りに、数々の作品を上演してきました。初期には「夢のサナトリウム」「大海原」「オレンジ色のオットットット」など、劇団アトリエを拠点とした公演が中心でした。その後、「魔人街」「家」「死神の花嫁」といった作品を経て、1980年代に入ると「好色五人女」「好色一代男」など、より演劇的な作品に挑戦するようになります。1980年代後半からは、シェイクスピア作品である「真夏の夜の夢」や「ベニスの商人」も上演するようになりました。1980年代から1990年代にかけては、下北沢のザ・スズナリや本多劇場を主な拠点とし、精力的に公演活動を展開しました。

特に1989年以降は、「桃太郎くんがゆく」「つるつるり」といった作品で、劇団の知名度を高めました。また、「ゾンビシリーズ」として、「Snow White in ゾンビニエンス・ストア」「ゾンビレラ」「番町皿ゾンビ」など、ユニークなテーマの作品も多数上演しました。これらの作品は、その斬新なアイデアと、劇団員の高いパフォーマンスによって、観客を魅了しました。

1990年代後半以降は、「雲にのった阿国」や「ヴェニスの商人」など、古典的な作品にも取り組みつつ、「ずっぴょん？！」などのゾンビシリーズも継続して上演しています。2000年に入ると、劇場MOMOオープニングフェスティバルや、2000都民芸術フェスティバルに参加するなど、新たな展開も見せています。

劇団鳥獣戯画は、長年にわたり、常に新しい表現を追求し、観客に感動と楽しさを提供し続けています。その活動は、日本の演劇界に大きな影響を与え、今後も注目される存在です。

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